メディアでの芸能人の言動が大きな影響力を持ついま、お笑い芸人のやり取りが「いじめ」を助長すると言われることがある。「いじめ」と「いじり」の境界線はどこなのか。カンニング竹山さんは明確なラインがあると話す。
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バラエティ番組で、芸人がこんなこと言っているのを見たことありますよね。
「お前仕事しないなら帰っちゃえよ」とか。
その後のやり取りでスタジオ全体がワッと笑ったとする。これって、一見いじめみたいに見えるけど、根本的に全然違うんだよね。
こういう場合、番組中で全然喋ってなかったやつにカメラを向けるためにスタートを切ることが多いんです。自分の感情で言っているわけじゃないですからね。喋ってなかったやつは仕事にならなくて損しちゃうから、「いじってくれてありがとう」なんですよ。
「いじる」って実は難しくて、いじる方といじられる方の両方に技術がいるんですよ。お笑いライブで頑張っている若手の子たちでも、根本がわかってなくて散々なことになっているときがあるんですよ。言いっぱなしとか、フリっぱなしとか。ただ人を攻撃すればいいんだろうって始めちゃうと、どっちも痛い目にあう。
特に、いじる方に愛がないと。滑ったときはこうフォローをしよう、それでも滑ったらこのフォローをしよう、最終的に番組を一つに作り上げようっていうことまでみんな考えます。自分がいじられたら、それはそれでめっちゃ美味しいけど、いじる人間は今はこいつの手柄のためにやってあげないとって考えている。サッカーでいうところのボランチっていうのかな。いいパスを渡して、最後いいシュートを打たせる。
テレビでタレントとかお笑い芸人とかがそういうことをやっているから、子どもが学校で真似するって言われているけど、「いじり」と「いじめ」は根本的に違う。「いじり」っていうのは両方が仕事で、いじられている方も利益があるんですよね。いじる方はそれをわかってて、この人はこれをやると美味しくなるし、ウィンウィン。番組が面白くなって、みんなハッピーになるっていう構図のもとやっている。目的意識はみんな同じなんです。