芸能界とかタレントの仕事は、一般の社会と同じように語れないことも多いんですけど、一般の感覚で言うと、芸能プロダクションなんてブラック企業ですよ!

 僕はテレビをメインの仕事にして15、6年経ちますが、これまで土日どころか、曜日が決まった休みなどはありません。急にロケの予定が跳んだとか、この日はどうしても仕事が何も入らなかったとか、そういう不定期の休みです。

 この仕事で食っていけるようになったのは30代になってから。仕事がない時期を経験しているので、いまは夜中まで収録して、次の日は早朝5時から仕事という生活でも、休みたいという気持ちが甘えや贅沢のように感じる。タレントさんはみんな一緒だと思うんですけど、休みは嬉しい半面、どっかで怖い。だから長時間労働の問題について、芸能界が世の中をリードしていくのは本当に難しいんですよ。

 僕は芸能界も基本的には休んでいかなきゃダメだと思う。もちろん、芸能人の場合は個人起業家みたいなものですから、事務所に所属していても、お金の保証なんてされていないわけ。年金や税金を納めるのも、健康診断を受けるのも個人。定年もないし、もしかしたら来年仕事がないかもしれない。将来の保証が一つもないんですよね。

 こんな言い方すると一般的には怒られるかもしれないんですけど、すごい厳しく言えば「嫌ならやめればいいじゃない?」っていう意識が根本にある。やりたい人が自分で門をたたいて、その人の才能とか魅力とか、縁とか運とかで、事務所に入るわけじゃないですか。しかも、仕事がまったくない人もいる。僕がいなくなっても、代わりが出てくるのが芸能界ですから。そこが難しい。

 ただ、テレビ局とか制作会社も労働時間は変わってきたなと感じます。特に日曜日の収録は少なくなっている。10年ぐらい前は土日も関係なく、もっと人がワンサカしていたように思います。知り合いの放送作家に聞くと、「夜何時以降の会議禁止」という規定もあるらしい。その余波は、きっとタレントのほうにも来るでしょうね。

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カンニングが考える「芸能界の行き着く先は…」