地域発祥の企業は、その地域でもっとも伝統がある大学が強い。愛知で誕生したトヨタ自動車は名古屋大(1位)と名古屋工業大(8位)、関西生まれのパナソニック(旧・松下電器産業)といえば大阪大(1位)である。これらが世界に名だたる企業に成長したのは、地域のトップ校から優秀な人材が集まったから。パナソニック就職者上位5校はすべて関西の大学だ。

 積水ハウスは日本大が1位だ。日大は、一級建築士の合格者ランキング1位でもある(2016年、180人。2位は東京理科大で123人)。なかでも建築、設計分野での人材を育成しているのが日大理工学部建築学科。定員240人の大所帯ゆえ、大手建築、設計会社への就職者が多い。日大のセールスポイントの一つといえよう。

 今回のデータは、「2017年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング」で、文系、理系総合ランキングのそれぞれ上位30に入った企業(一部除く)の就職者数を調べたものだ。ランキングに登場するのは約80大学。その顔ぶれから、大学の知られざる歴史や伝統、そして最も得意とする分野が発見できるのがおもしろい。(文/小林哲夫

小林哲夫(こばやし・てつお)/1960年生まれ。教育ジャーナリスト。著書に『早慶MARCH』(朝日新書)、『高校紛争1969-1970 「闘争」の歴史と証言』(中公新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)など

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