仕事をしていく上で、さまざまなメモを取ることが多いと思います。ちょっとした備忘録から、会議の議事録、企画書の作成など、とにかくメモをとる機会があるでしょう。
スマホやパソコンといったデジタル環境でのメモ管理は意外と難しいものですが、スマホジャーナリストの石川温氏は最新刊『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』の中で、2種類のアプリを使い分けて上手に活用する方法を指南しています。
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私は主に2つのアプリを使ってメモをとることにしています。ひとつがグーグルのメモアプリ「Google Keep」、もうひとつがマイクロソフトの「OneNote」です。
本来なら、すべてをまとめてひとつのメモアプリで管理をするのが理想ですが、いろいろ試した結果、2つのアプリを使い分けるというやり方に落ち着きました。
「Google Keep」と「OneNote」は、文具で例えれば「付箋紙」と「ノート」の関係に近いです。多くの人は、ちょっとしたタスク管理や備忘録などは、付箋紙に書き込んでパソコンのディスプレーの隅に貼っておくといったことをするはずです。この役割を担ってくれるのが「Google Keep」です。
Google Keepでは、「リスト」というチェックボックス形式のメモを作れます。作業が終了してチェックボックスにチェックを入れると、文字の上に横線(取り消し線)が入り、項目がリストの下に自動で移動してくれるので、何が終わって何が終わっていないかが一目瞭然でわかります。Google KeepはAndroidスマホだけでなく、iOSやパソコンのウェブブラウザからも利用可能です。
私の場合、執筆依頼をいただくと、このGoogle Keepを起動。すでに「締め切り」というリストのメモを作成しているので、そこに締め切り日と媒体名を記載します。執筆が終わり原稿を編集者に送付した後、チェックして納品が終わったことがわかるようにしています。
一方、資料をまとめたり、考え事をメモしたり、手書きで構想を書いてみたりする場合に最適なのが「OneNote」です。こちらもウィンドウズ、Mac、iOS、Androidなど、マルチプラットフォームでアプリが提供されており、どんな環境でもメモできるのが魅力といえます。
私の仕事の多くは「インタビュー」です。その際、事前に質問すべきことをメモしておいたり、また相手がしゃべったことを書き留めるための道具が必要です。一対一で誰かに話を聞く際、ノートパソコンのキーボード入力でメモを取ると、話している側はカタカタという音が気になってしゃべりにくいのではないか、聞く自分も文字変換に気を取られ相手の発言が上の空になるんじゃないか、という気がしてしまいます。
そのため、インタビュー中はあえて手書きにこだわってメモを取ります。相手の話した言葉の中でも特に印象に残ったフレーズだけをメモしていき、また途中で思いついた「聞くべき質問」も手書きメモとして、端っこのほうに書いておきます。こうすることで、会話を途切れさせることなくやりとりできるのです。
OneNoteを使う大きな理由は、音声も録音できる点にあります。手書きでメモを取る必要がなくても、会話を残しておきたいときは音声の録音だけしておきます。また、画像を付けたりファイルを添付したりしておくことも可能です。話題に出たウェブページのリンクや、もらったPDF資料を貼り付けておいたりできるのです。音声のデータに加え、あらゆる周辺情報をひとまとめにできるので、格段に情報整理が楽になります。(石川温)