と話す。外科に来てから、手術しないという選択をした症例数は調べていないので不明としつつ、「感覚的には半々くらいではないか」という。
同院の手術後の5年生存率はどうか。01~15年の原発性肝がん(患者数1080例)を分析したところ、若年者(849例)が60.5%、高齢者(231例)50.3%だった。
1施設のみのデータとはいえ、全国1位の手術数の同院でも、高齢者のほうが約10%、生存率が落ちている結果だった。
死因についてのデータも示してくれた。
「手術後の肝がんの再発による死亡が若年者で81%、高齢者で69%です。この差は、高齢者が肝がん以外の他の原因で死亡していることを示しています」(高山医師)
生存率の差について、高山医師はどう考えるか。
「私もデータを調べて初めて確認しましたが、高齢者だとこんなに差が出るのは驚きですね。ただ、10%落ちていますけど、手術した結果、余命を延ばすという意味では十分に貢献している数値だと私は思います。とくに術後3年間は両者にまったく差がないことは、手術の効用を示しています」
参考までに全がん協(全国がんセンター協議会)が発表している肝がんの5年相対生存率(他病死含む、全年齢)を見ると、手術症例では58.7%。手術やそれ以外の治療法も含めた全症例では34.8%となっている。
つまり、高齢者の手術は、若年者よりも生存率は落ちるが、手術以外の治療法に比べれば、余命を延ばせていると解釈できそうだ。(医療健康編集部・杉村健)