それだけでなく、選手たちが受ける重圧も懸念材料だと岡崎は言う。
「昨季は(英国中の)後押しがあったけど、今季は“逆方向の後押し”みたいなものが怖い。つまり、『まさか、優勝したチームが?』、『それはないだろう』みたいなところから、どんどん行ってしまうという…」
昨季は開幕前に降格候補とされたレスターが頂点に立ち、「奇跡の優勝」と謳われた。快進撃を続けたレスター一行には、ホームサポーターはもちろん、敵サポーターまでもが“第二の贔屓クラブ”として声援を送り続けた。弱者が強者を次々と打ち負かす快進撃に、イングランドは熱狂したのだ。
しかし今季は一転、ジリジリと順位を下げて降格圏へ近づいている。英メディアは厳しい視線を向け始め、舌鋒鋭い批判記事も目立つようになった。昨季王者が降格してしまうのでは──。「シンデレラストーリー」が「悪夢のストーリー」へと様変わりしていけば、ふたたび英国中の視線が、レスターの一戦一戦に向けられるようになるだろう。
それでも、岡崎は前向きに話す。視線の先にあるのは、12日に敵地で行われるスウォンジー戦だ。勝ち点21ポイントの16位レスターと、勝ち点で並ぶ17位のスウォンジー。残留争いにおける“直接対決”は、まさしく負けられない一戦になる。
「勝つしかないでしょ。みんなネガティブになっているけど、勝てば、『ここからだ』となると思うので。『スウォンジーで勝とう』って、モチベーションを上げていきたい」
プレミアリーグにおける残留の目安は、「勝ち点40」と言われる。シーズンの約6割を消化し、その約半数の21ポイントしか獲得していないレスターは、さらなる奮起が必要になる。その一つ目のハードルがスウォンジー戦だ。リーグ戦で未だ勝利のないアウェイマッチで勝ち点3を挙げ、浮上のきっかけを掴みたい。(取材・文 田嶋コウスケ)