リオ五輪で銅メダルを獲得した石川佳純(写真:Getty Images)
リオ五輪で銅メダルを獲得した石川佳純(写真:Getty Images)
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ユニフォーム姿の石川佳純(写真:Getty Images)
ユニフォーム姿の石川佳純(写真:Getty Images)

 「日本のエース」としてリオ五輪団体戦で全勝。卓球女子銅メダル獲得の立役者となった石川佳純(全農)が、1月16日から東京体育館で開催されている「全日本選手権」に臨んでいる。結婚したばかりの福原愛(ANA)が今大会を欠場したとあって、石川は優勝予想の大本命。同大会では何しろ通算4勝、2014年からは3連覇中なのだ。

【写真・ユニフォーム姿もかわいい石川佳純】

 だが、日本一を決める全日本選手権には社会人や学生ら国内のトップ選手が死にものぐるいで挑んでくる。さらに石川とともにリオ五輪団体銅メダリストとなった伊藤美誠(スターツSC)や、昨年10月のワールドカップで史上最年少優勝を果たした平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)ら、成長著しいジュニア世代の台頭もある。

 そんな全日本選手権は大会女王の石川ですら大きなプレッシャーを感じるといい、2015年には優勝して連覇を決めた瞬間、重圧から解き放たれたように大粒の涙をこぼした。世界の大舞台に慣れっこの石川が国内の大会で涙するとは。それほど全日本のタイトル獲得は難しく、誰もが手にしたい称号なのだ。
 
 もともと石川の勝負に対する姿勢は貪欲なことで知られる。特に試合では競り合いになった時の勝負強さに定評があり、ゲーム序盤は相手にリードを許しながら逆転するケースが多い。これは石川がコツコツとゲームを組み立てていく緻密なタイプであることと、さらに近年は打球の緩急に磨きがかかり、両ハンドドライブの強打だけでなく緩いボールで相手のペースを崩すのが上手くなったことが理由と考えられる。

 また、相手の嫌がるプレーを徹底的にやり抜く精神面の強さも持ち合わせている。例えば2016世界卓球の団体準決勝。グループリーグで日本が負けた北朝鮮に対し、石川は自身のサーブを全て右前(相手から見て右側のネット際)に落とし、北朝鮮の選手の得意な強打を封じ込めた。その徹底ぶりはたとえ敵でも気の毒になるほどで、ぶれない石川の心臓の強さを痛感する一戦だった。

 五輪イヤーが一段落し、福原に代わって日本のエースとなった石川は、これから伸び盛りの若手を引っ張っていくことになる。果たして、どんなリーダーになるのか? 周囲の空気を慮って自身がムードメーカーになろうとする福原に対し、おそらく石川は身をもって示すタイプ。これについていく伊藤や平野ら10代の選手も我が道を行く個性派タイプが多いことから、新生チームジャパンは各々が個の力を発揮しながら世界と戦えるチームへ成長していくことだろう。(文・高樹ミナ)