今年の箱根駅伝は、例年、勝敗に大きな影響を及ぼしてきた5区(山登り)の距離が23.2kmから20.8kmへと短縮されたことと、昨年までの神野大地(青学大)やかつての柏原竜二(東洋大)のような“山の神”と称される選手が現時点では不在なことから、青学大が優勝候補の本命ということ以外は、なかなか予想が難しい。しかし、優勝予想とは別の観点で注目したいのが東海大学だ。
かつては、佐藤悠基、村澤明伸(ともに現在、日清食品グループ)ら名選手を輩出し、箱根路を沸かせてきた東海大だが、2012年には12位に沈みシード権を逃すと、2013年は予選会でまさかの敗退となり箱根に出場もできず、という屈辱を味わった。しかし、2015年には6位、2016年は5位と上昇傾向にあるうえ、今年は強力な1年生が豊富に揃った。すでに出雲、全日本で大学駅伝デビュー済の選手も多く、出雲で3区区間賞の關(せき)颯人、全日本3区区間賞の館澤亨次、出雲1区2位の鬼塚翔太などは実戦でも使える力を立証済だ。いきなり青学大をとらえることは難しいかもしれないが、この1年生の顔ぶれを見ると、数年後には優勝争いに絡んでくるだろうことは容易に想像できる。一度、どん底を味わったチームは強くなる。東海大は、今まさにその流れに乗っているのではないか。
青学大の3連覇や優勝争いだけでなく、数年後も視野に入れて、青田買い的な視点も持ちつつ観戦すれば、仮にレースが一方的なものになったとしても、長時間にわたる箱根駅伝を最後まで楽しめること請け合いだ。(文・椎名桂子)