通年リーグの後にチャンピオンシップのようなプレーオフを設けるシステムは、プロ野球のクライマックスシリーズなどもそうであるように、どうしてもある種の矛盾を内包している。昨季は年間1位の広島が劇的な勝利を飾ったことで特に表出してこなかった問題だが、今年は年間3位、それも首位と15ポイントの差を付けられたチームが「優勝」したことで、改めて矛盾点として突きつけられることとなった。

 もちろん、鹿島の見せた試合運びの妙と、大一番における確固たるメンタリティは見事なものだった。浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が「鹿島のことを称賛したい」と繰り返したのも、そこに敬意があればこそ。浦和が年間1位と言っても、これが通年制のリーグだったならば、終盤には別次元のプレッシャーがかかっていたはずなので、結末がどうなっていたかは一概に言えるものでもない。鹿島はルールの中で優勝を勝ち取った。この事実自体は確固たるものだ。

 とはいえ、鹿島の選手たちから年間1位の浦和へ配慮する言葉が次々に漏れたことが象徴するように、「年間王者」になったにもかかわらず喜びきれないような、微妙に釈然としない後味を残してしまっていたのも事実だ。個人的にはやはり、仮にチャンピオンシップ制度を設けるならば、2ステージ制ではなく2リーグ制にすべきだと考える。優勝したチームの選手が「スッキリしない」と言ってしまう制度には、やはり問題があるのだ。来季からチャンピオンシップを廃して通年での1ステージ制に回帰するJリーグだが、皮肉にも、その制度変更が強く肯定されるような結末を、チャンピオンシップのラストシーズンにて迎えることとなった。(文・川端暁彦)