人工関節の手術は年間5万件以上おこなわれていて、ポピュラーな手術といえる(※イメージ写真)
人工関節の手術は年間5万件以上おこなわれていて、ポピュラーな手術といえる(※イメージ写真)

「ひじが痛い」「手術を勧められた」。整形外科の患者によくある悩みを、部位ごとに分けて専門医に聞きました。今回は「ひざの手術」についての回答を詳しく紹介します。

【Q】5年前からひざが痛くなり、変形性膝関節症と診断。薬と運動療法で痛みは治まりましたが、最近、再び痛くなりました。同じように薬を飲み、ストレッチをしてもよくなりません。整形外科の先生には「年のせいもありこれ以上の回復は見込めない」と人工関節を入れる手術をすすめられました。手術すべきでしょうか?(女性・70代)

【A】進行すると治療効果が少なくなる。手術で痛みが解消することも
<回答者:東京都済生会中央病院 整形外科部長 柳本繁医師>

 こちらは5年間治療した後に痛みが再発し、手術をすすめられたとのことで、軟骨が著しくすり減っている末期の「変形性膝(しつ)関節症」と思われます。薬や運動療法などの治療は、病気の初期には有効ですが、加齢とともに関節はすり減り続けるため、今までのような治療では痛みが改善しないようになることがあります。長い治療期間ののちに、ひざの軟骨が完全になくなって痛みが強くなり、日常生活への支障が大きくなった場合には、人工関節を入れる手術がすすめられます。

 整形外科の手術も、ほかの病気の手術と同じように、呼吸器や心臓の病気、糖尿病など、持病がある場合には合併症のリスクが高くなり注意が必要です。ただし、医師にすすめられたということは、患者さんの全身状態は悪くなく、希望があれば手術できるということでしょう。これまでの治療に加えて、選択肢が一つ増えたと考えていいと思います。

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