「3区の初駅伝の吉永が誤算だったので、あそこから後手後手に回ってしまいました。5区であと20秒くらい開かれて1分半差になっていたら危なかったが、あそこで秒差だけど詰めてくれて危険水域ギリギリのラインで展開できたことが、最後の一色のゴールにつながったと思います。殊勲者といえば2区の田村和希はもちろんだがですが、僅かだが詰めてくれた小野田と、その流れで区間賞を取ってくれた森田が今回は一番ですね。6区が終わって37秒差になったところで、7区の中村祐紀がブレーキをしても1分差では収まるだろうから勝てると思いました」
原監督がこう話すように、7区の中村は区間5位だったが、早大とは49秒差に止めてアンカーの一色恭志につないだ。原監督の中には、早大の安井雄一との走力を比較して「最大1分45秒差までは大丈夫だろう」という思いもあったという。それを聞いた一色は「それは僕に負担をかけすぎですよ」と笑うが、6km手前で逆転するという凄まじい走りを見せると、15km過ぎからは足がつりそうだったという中で逆に56秒差を付けて優勝のゴールテープを切った。原監督の言う通りに、安井に1分45秒差を付ける走りをしたのだ。
これで箱根での3冠にも王手をかけた青学大。原監督は「3冠も3連覇もチャンスがあるので、勝てるときに勝っておきたいですね。今回は田村和希以外の3年生の走りと4年の安藤の走りがイマイチだったので、そこは修正点ですが、今は22~23人から16人を選ぶ段階なので……。うちは16人の5000m平均が13分53秒くらいで潜在的な13分台ランナーは20人くらいいると思うし、1万メートルの28分台ランナーも同じくらいいると思うので。箱根も神野がいないので山対策だけです。あとはスタンバイしているのでいけると思います」と自信を滲ませる。
結果的には圧勝だったが、粘り強さも見せた今回の青学大。箱根に向けては穴もなさそうな雰囲気を見せている。(文・折山淑美)