第48回全日本大学駅伝 1位でゴールする青山学院大学の一色恭志選手=角野貴之撮影 (c)朝日新聞社
第48回全日本大学駅伝 1位でゴールする青山学院大学の一色恭志選手=角野貴之撮影 (c)朝日新聞社

 11月6日、大学三大駅伝のひとつである全日本大学駅伝が行われ、3冠獲得と箱根3連覇を狙う青山学院大は、一時はヒヤリとさせられながらも総合力の確かさを見せて大会初優勝を果たし、3冠獲得へ王手をかけた。

 前回の箱根優勝メンバーからスピードランナーの久保田和真や山の神・神野大地など4年生が4名抜けた今シーズン。箱根へ向けてのテストも兼ねていると思われる1区の下田裕太は、1ヶ月前の鈴木塁人を起用した出雲駅伝と同じように出遅れた。

 それでも原晋監督は、「下田はあんなものですね。過大評価されているが、元々5000mのスピードはそんなに豊かではなくて長い距離の方が強い選手だから。給水を取れなかったので最後はフラフラしていたが、中間点からスパートされてもトップから28秒差というのは合格点です」と余裕を持って構えていた。出雲と同じように、次のエース区間を走る田村和希がトップに立ってくれると考えていたからだ。

 田村はその期待通りの走りをした。最初の3kmで首位の東洋大を15秒詰める8分16秒で突っ込むと、早稲田大の平和真と共に6.6kmの中間点で東洋大を捉えた。その後は9.5kmで平のスパートに引き離されたが、その差を維持すると中継所手前から再び猛追を開始し、1秒前に出てトップで3区の吉永竜聖につなぐ気迫の走りを見せたのだ。

 だが、原監督の誤算はここからだった。吉永が早大の鈴木洋平に4kmを過ぎてから完全に突き放され、14秒差を付けられたのだ。さらに4区でも、出雲では東海大を逆転して優勝の立役者になった主将の安藤悠哉が、早大の永山博基に区間賞獲得の走りをされてその差を1分7秒にまで広げられた。

 だがそこからの青学大は、前半をオーバーペース気味で突っ込んで最後は失速するという走りをしながらも、徐々に地力の違いを見せ始めた。前回の箱根で6区区間2位になっていた小野田勇次は、最後はへばりながらも早大との差を僅か5秒だけ詰めた。その執念が6区の森田歩希につながり、森田は区間賞獲得の走りで前を行く早大との差を37秒にまで縮めたのだ。

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