また、大卸の場合、築地から各地の市場へと魚を再発送することがある。この場合も、新品の発泡が必要だ。産地から届いた発泡には、地名やロゴがプリントされたものもあるため、中身を整理し直して送る際には、新品が必要となる。

 ピンポイントで欲しいサイズが決まっていることもある。それぞれの店舗で取り扱う魚に応じた最適なサイズであったり、使い慣れたサイズであったり。前述の「クールで送ることのできる最大サイズ」との要望も、これにあたる。

 衛生面で特に気を使うお客さんにも新品を使うとの声も聞いた。また、未確定ではあるが、豊洲市場では発泡の再利用は認められず、新品の発泡しか使えなくなるかもしれないという話もあるらしい。

 他にも、プレゼント向けのニーズもあるという。ピンク色の発泡、ハート形の発泡もここには用意されていた。

 ところで、東京魚類容器が扱うのは、発泡だけではない。事務所の奥には、段ボール箱やプラスチックの樽などが、きちっと整理されて積み上げられていた。

「木箱から発泡に変わった時は、売り上げが半分になりました。売り上げのうち発泡が占める割合は、10年前の6割から、今は4割まで減っています。発泡の出る量が減ったわけではなく、他(発泡以外の商品)が増えました」

 社長の原さんは、これからも、お客さんが必要とするものはなんでも取り扱って行きたいとも話していた。すでに、ドライアイス、手元を消毒するアルコールなど、包装資材以外の商品も、幅広く取り扱われている。

「茶屋札も扱っています」と話してくれたのは、従業員の加藤さん。茶屋札とは、各店舗の店名が入ったメモ帳のことだ。茶屋札の使い方はさまざまだが、商品名や重さ、客先名などが書かれ、発泡に添えられることが多い。

 茶屋札からもまた、築地が置かれた現状を知ることができる。茶屋札に印刷された店名の下には、電話番号や店番(市場内における住所に相当するもの)を記すケースも少なくないが、豊洲への移転が定まらず、今は店名のみを印刷するケースが増えてきたとも、加藤さんは話していた。

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