投打別の数字を見ても、昨季の対戦打率.230、対戦防御率4.85が、今季は対戦打率.247、対戦防御率2.80と一気に優位に立った。個人別で見ると、大谷翔平の変化が顕著だ。“二刀流”を具現化している怪物は、まず投手として、昨季はソフトバンク戦4試合で1勝2敗、防御率6.58だったのが、今季は4試合で2勝0敗、防御率1.26という好成績。そして野手としても、昨季はソフトバンク戦13試合に出場して20打数2安打の打率.100、0本塁打、1打点だったのが、今季は21試合で73打数30安打の打率.411、9本塁打、16打点の大暴れ。大谷のソフトバンク戦での成績が直接対決での結果に繋がり、逆転優勝への大きな要因となった。

 「対戦すれば勝てる」、「直接対決に持ち込めばゲーム差を縮められる」――。ソフトバンク戦に対する自信と余裕は、他球団と戦う上でも優位に働いたことは間違いない。前年のソフトバンク所属から4年ぶりに日本ハムへ復帰した吉井理人投手コーチの存在も大きかった。その中で大谷が成長し、選手たちは諦めることなく懸命に戦い、11.5ゲーム差をひっくり返した。ただそれを「奇跡」という言葉で片づけてはならない。最も変わった直接対決での勝敗。それは前年の失敗をしっかりと分析し、その反省を今季の1試合1試合へと繋げた、地道な努力と積み重ねの結果だったと言えるだろう。

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