名古屋の救世主として期待される闘莉王(写真:Getty Images)
名古屋の救世主として期待される闘莉王(写真:Getty Images)
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 現在年間16位。J2への降格圏から抜け出せないだけでなく、リーグ戦18戦連続で未勝利の状態が続いている名古屋グランパスは、25年のクラブ史上で最大と呼べる危機的状況にある。9月3日に行われた天皇杯全日本サッカー選手権の大会初戦、J3長野パルセイロとの2回戦もまさかの敗戦を喫しその状況はさらにマイナス方向へと加速した感も出てきた。これで今季の公式戦はJ1リーグ2ndステージの7試合を残すのみ。J1残留は唯一にして最大の、名古屋が戦う意義となっている。

 まさに負の連鎖がチームから戦うエネルギーを奪っているような現状だが、その鎖を断ち切る救世主となりうるのが、8月28日に名古屋との再契約を果たした元日本代表DF田中マルクス闘莉王だ。昨季限りでチームを退団していたが、それは当時の小倉隆史GM補佐との契約交渉が破談に終わったというだけで、6年間を過ごした愛着のあるチームへの愛情はいまだ消えていなかった。自分がいないチームにこうした危機的状況が起こりうることを想定し、母国ブラジルに戻った後はどこのクラブにも所属せず、いつでも契約ができる状態を用意していたというから驚きだ。昨年11月22日の2015年最終戦を最後に実戦から遠ざかっていた闘莉王は、自らが経営する牧場で牛を走って追い、大量の飼い葉を自分の手で運ぶなどナチュラルなトレーニングでフィジカルを鍛え、その時を待っていた。「こういう日が来たら、ちゃんと準備できているのか。自分自身との闘いでした」。いつ来るかもわからない“こういう日”のためにストイックな毎日を過ごす精神力は、まさしく闘将と呼ばれる男のそれだ。

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