【新事実4 早期に歯周病を治療すれば、医療費を大幅に削減できる】

 急速に高齢化が進む日本では、増大する医療費が問題になっています。各家庭においても、老後に向けて医療費支出をどう抑制するかが課題と言えるでしょう。

 自動車部品メーカー・デンソーの健康保険組合が被保険者の医療費を分析したところ、歯周病にかかっている人はかかっていない人よりも、歯科だけでなく医科(歯科以外の病気)の一人あたりの医療費も年間平均1万5800円多くかかっていることがわかりました。60歳以上になるとこの差は、3万円前後まで広がります。歯周病は全身に影響を及ぼします。実際、歯周病で治療を受けている人の多くが糖尿病にかかっていました。

 では、どうすれば医療費を抑えられるのでしょうか。デンソーの場合、定期的な歯科健診を実施している事業所では医療費が5年間で最大23%も減少したのに対し、実施しなかった事業所では24%増加していたとのこと。

 歯周病の予防や早期発見・治療は、生涯にわたる医療費を抑えるポイントと言えそうです。

<まとめ>
・歯周病の人は一人あたりの医療費が年間平均1万5800円多かった
・定期的な歯科健診を実施している事業所では医療費が5年間で最大23%も減少

【新事実5 犬の8割近くは歯周病予備軍。飼い主とうつし合っている可能性も!】

 歯周病は人間だけではなく動物にも発症する病気。とくに犬には歯周病が多いことが明らかになっています。780匹の犬の「歯科健診」の結果を分析したところ、76.3%に歯垢や歯石の沈着といった「歯周病予備軍」といえる症状が見つかりました(アニコム損害保険会社調べ)。ペットも高齢化が進み、歯周病の発生率が増えているのです。

 では、犬の歯周病は人間の歯周病とは別物なのでしょうか。実は人間の歯周病菌と同一の菌が犬の口から検出されたという報告もされています。ペットと飼い主で歯周病菌を相互にうつし合っている可能性も考えられるということなのです。人間が食べものを噛みちぎってペットに与えたり、ペットが人間の口を舐めたりといった行為が、歯周病菌の感染ルートになっているかもしれません。なおペットは、「歯垢が歯石に変化するスピードが速い」「ブラッシングが難しい」「痛みや違和感を自分で訴えられない」といった理由から、人間よりも歯周病が重症化する傾向にあります(取材協力:鹿児島大学・東京医科歯科大学 高橋香氏)。

<まとめ>
・犬の「歯科健診」で、76.3%に歯垢や歯石の沈着といった「歯周病予備軍」といえる症状が見られた
・人間の歯周病菌と同一の菌が犬の口から検出されたという報告も