【誤解その3】機能性ガムを噛んでいれば歯周病にならない


<正解 ガムだけでは不十分>

 かつてのガムは、糖分が多いために“むし歯のもと”とされてきました。ところが今は一転して「歯を丈夫にする」「むし歯予防」などを謳った機能性商品が登場し、“歯のミカタ”に変わってきています。その効果も、歯の再石灰化の促進、むし歯菌にむし歯の原因となる酸をつくらせない、歯を溶かす原因になる酸から歯を守るなどさまざま。さらに、「噛む」ことによって、細菌の増殖を抑える唾液を増やし、噛む力が衰えないようにする効用もあるのです。
 でもガムを噛むだけでは、むし歯や歯周病は防ぐことができません。とくに歯周病の場合は、歯ぐきの根元のプラーク(歯垢)を歯ブラシで機械的に落とす必要があるのです。

【誤解その4】歯周病には歯肉のマッサージが効く!
<正解 歯周病の治療には効果なし>

 高齢者の中には、「歯槽膿漏(歯周病)が良くなる」と信じて、せっせと指で歯肉のマッサージをしている人がいます。これはおそらく、マッサージすることで、歯周病が悪化して腫れた歯肉の膿やたまった血が排出され、歯肉が引き締まって良くなる、という考えによるもののようです。しかし、「歯肉をマッサージして歯周病が治った」ということを証明した研究や論文は一つもありません。

 歯肉のマッサージ自体は悪いことではありませんが、わざわざ指でマッサージするよりも、歯ブラシで歯と歯肉の境い目のプラークを除去しながら歯肉をマッサージするほうが炎症が軽減するため、歯周病の予防や改善には効果的といえるでしょう。

【誤解その5】歯周病で歯が抜けてもインプラントがあるから大丈夫
<正解 歯周病を改善できない人はインプラントは無駄になる>

 歯周病で歯が全部抜けてしまうと、一昔前までは総入れ歯にするしかありませんでした。近年は人工歯根を埋め込んで再建する「インプラント治療」が普及しました。見た目も使い心地も自分の歯に近く、歯を失った人にとって救いとなる方法ですが、「インプラントがあるから歯が抜けても大丈夫」と、悪い意味での安心感を持つ人が増えています。

 しかし、歯周病のために骨が破壊され、人工歯根を埋め込むことができない場合もあります。また、埋め込めたとしても清掃が不十分だと「インプラント周囲炎」といわれる感染が生じ、抜かなければならないことも。ブラッシングがきちんとできないままでは、インプラント治療はできません。

【誤解その6】歯はなにがなんでも残すべきだ
<正解 抜歯したほうがいいこともある>

 歯周病が進行してしまった歯を残しておくと、その歯を支えている歯槽骨だけでなく、隣の歯や周辺の骨にまで悪影響を及ぼします。骨がかなり溶けて、すでに噛む機能を果たしていない歯を残していても何の役にも立ちません。無理に残しても、結局抜かざるを得なくなるケースがほとんどで、かえって抜いた後の状態が悪くなって入れ歯を入れるのが難しくなったり、腫れや痛みが生じたりするなど不快な症状を繰り返す原因にもなります。

 歯を残したいという患者さんの気持ちも理解できます。ただ、歯科医師も必要があるから抜歯をするのです。主治医の説明に納得できないときは、他の歯科医師を受診して意見を聞くのもいいでしょう。

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