ダブルボランチのテストを兼ねつつ、攻撃陣には初戦で効果的な動きを見せたオナイウ阿道をスタメンで起用し、オーストリア・リーグの終了から合流した南野をサイドアタッカーとして抜擢した手倉森監督の選択は納得できる。しかしながら選手が期待に応えらなかった。交代出場の野津田岳人(広島)はゴール前でフリーになりながらシュートは上に外す。得意とする左足からのシュートだけに、本人は試合後「決めないといけないですし、悔しいです」と振り返ったものの、こうしたワンシーンが試合の趨勢を決めた。

 後半は富樫敬真(横浜FM)や鎌田大地(鳥栖)らを交代カードとして起用し、反撃を試みた手倉森監督。これで今回招集した全選手に出場機会と同時にテスト時間を与えた。チームは今大会のあと、6月29日に松本で開催される南アフリカとのテストマッチまで活動期間はない。このため数人の選手はフランスでの戦いがリオに向けて最終選考の場となるが、正直なところ各ポジションで今回招集されなかった選手を上回ったとは言えない印象が強い。

 ポルトガルはU-20代表と2世代下のチームだ。そんな相手に許した決定機は1回だが、それを決められた。対する日本は多くのチャンスを作りながら、1点も奪えなかった。それはコンビネーションの問題ではなく、“個の力”で決めきる差と言ってもいいし、年下の選手の必死な守備を崩せなかった日本の“力不足”かもしれない。

 次はギニア戦で、その次はポルトガルを倒したU-20イングランド戦が待っている。楽しみの続くトゥーロン国際大会と、今は言っておこう。

サッカージャーナリスト・六川亨【週刊サッカーダイジェスト・元編集長】)

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