2006年3月15日に「SAKURA」でメジャーデビューしたいきものがかりが10周年を迎える。デビュー記念日にはベストアルバム『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』をリリースし、夏には地元の神奈川県海老名市と厚木市で大規模な野外ライヴ“超いきものまつり2016 地元でSHOW!!”を行う。結成からデビュー、そして10周年を迎える彼らにその心境を聞いた。
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――この10年間を振り返って、デビューからなにか変化したことはありますか?
山下穂尊(G&Harmonica) この10年間でどうなったかといえば、なにも変わってないですね。近すぎず遠すぎずという距離感で高校の時からやってきて、メンバーの距離感は今も一緒。(吉岡)聖恵が最初に飛び込みで参加したとき、僕は初対面だったんですけど、すごく運命を感じたわけではなくて。結成してから17年になるんですけど、ナチュラルに始まってからずっと変わってないかな。
吉岡聖恵(Vo) 誰かが曲を作ってきたときに、それに対して大幅にこうしてくれって伝えることは私たちにはないんです。曲を渡されるときも、こういう曲なんだよっていう説明も特になくて。それぞれの持ち場が昔から決まっていて、それが今も続いています。
――曲を作る上でのテーマにも変化はないですか?
水野良樹(G) 僕らは、なるべく聴く人を主体に考えて、自分たちのメッセージを入れないんです。自分たちが表現したいことを曲にするよりは、聴いてくれる方たちが持っている物語といかにつながるかをすごく大事に考えていて。それに、曲を作っている人間と歌っている人間が違っていることもプラスに働いていて、僕が女性の曲を書いてもいいし、吉岡が男性の歌を歌ってもいいみたいな。3人の世界だけじゃないことも曲にできるというのが、すごい強みだと思います。
吉岡 私たちは路上ライブからスタートしているので、自分の感情を叫ぶという感じではなくて、曲の世界に入ってもらったり、曲に気持ちを重ねてもらうことで、足を止めてもらっていました。聴いてくれた人に「わかるわかる」って言ってもらえることを目指していました。3人だから広がりがあって、いろんな物語やキャラクターが生まれるのかなって思います。
山下 当時はアップテンポの曲がウケなくて、バラードばかり書いていました。路上は押しつけがましいと引いちゃうんですよね。うちの場合はバラードが足を止めやすかったんだと思います。
――ファン層が広いと思うのですが、それはどうしてだと思いますか?
水野 逆に言うと、ある層にだけを狙うことができないグループだと思うんですね。路上ライブから始まって、お客さんを選ぶことを考えなかったので。周りには同世代にメッセージを伝えようとする人たちも多かったですが、もし自分たちがこの世界で生きていけるなら、すべての世代の人に受け入れられるしか、たぶん生き残れないだろうなとは思っていました。
吉岡 おじいさんやおばあさんが立ち止まってくれることもあれば、小さい子が止まってくれることもある。私はそのどちらもうれしくて。ある意味よくばりなグループでもあります。
山下 路上ライブでお客さんが足を止めるには何をすればいいか、それが自然にそういう考えになっていったんですよね。