水野 あとはアレンジャーの本間昭光さんですね。初めてツアーを一緒にやっていただいたのが2010年で、すごく長い時間を一緒に過ごした中で、本間さんの何十年という音楽経験の話をじかに聞くことができて、音楽を職業とする厳しさや楽しさをいろんなカタチで教えてもらいました。本間さんとの出会いがなかったら、いきものがかりは全然違うふうになっていたと思います。それから、「はい、それまでよ」っていうことが常に目の前にあって、そうならないように壁を乗り越えていくことの繰り返ししかないからって、お酒を飲みながら話してくれて。そういうことが今の自分たちにとっては糧になっています。
――この10年の集大成とも言えるような大規模な野外ライブがこの夏にありますね。
水野 地元の海老名と厚木では、これまで大きな形でやることがなかったので、せっかくなら地元でやろうということになりました。会場は陸上競技場で、僕らも陸上記録会で学生の頃に使っていたところなんです。海老名、厚木のみなさんにも、これまで応援してきてくれた人たちにも楽しんでもらいたいと。とてもよくばりなライブですね。
吉岡 結構、地域の人たちに協力してもらわないとできないこともありますので、特別なライブになると思います。少しでも恩返しになればと思っています。
山下 当日のセットリストは、アルバムの中から考えています。海老名や厚木にライブで数万人が集まるということもあまりないと思いますので、ご近所の方にはご迷惑がかかるかもしれないですけど、そこは許してください(笑)。
水野 先日、市長さんにあいさつにも行かせてもらって。大変恐縮なんですけど、とても歓迎されまして。こちらは勝手に路上でライブをさせてもらって、街を出て行って、それで帰ってきたらあんなふうに迎えていただけるなんて、ありがたいですね。
山下 普通に高校の同級生が職員として働いていたのも、びっくりしました(笑)。
――あらためて10周年を迎えられた心境をお聞かせいただけますか。
吉岡 駅前でギターとボーカルだけでやっていた私たちが、いろんな出会いがあって、いろんな人に助けられて。一曲出すごとに受け取ってくれる人もいて。いろんな縁がつながって、毎回ラッキーなことがおきて、こんなにも曲を詰め込んだアルバムもできた。あらためていい出会いがあったと感じています。
水野 二十歳の頃に合言葉のように10年続けるとは言っていました。その頃には想像もできなかったですけど、デビュー10周年を幸せな状態で迎えられて、ありがたいという思いしかない。路上では3人だけでしたが、今は仲間がたくさんいるので、それが幸せです。
山下 気づいてみれば10年。目の前のことをひとつずつ取り組んで、振り返る時間もなかったかなと。いざ振り返ってみると、いろいろあったなと改めて気づかされました。これからの一歩のためにいい機会になりました。
――ちなみに、ソロでやりたいという気持ちはないですか?
山下 いやー、まだないですね。
吉岡 そろそろ…。
水野 (笑)。今そろそろって言った? ダジャレになってておもしろいな!
吉岡 いや(笑)。今はいきものがかりに精一杯の自分をぶつけてますからね。
水野 まだまだ、そういう余裕はないですね(笑)。