東京「Nui.」、長野「1166バックパッカーズ」、名古屋「西アサヒ」、鎌倉「亀時間」、京都「パンとサーカス」……いま、日本全国でオシャレなゲストハウスが急増しているのをご存じだろうか。数年前から一部の旅好きや外国人旅行者の間で口コミで広がり始め、最近では『BRUTUS』や『ソトコト』といった雑誌でも取り上げられるなど、ますます注目を集めている。
ドミトリー形式が敬遠され、日本全国のユースホステルが衰退していくなか、同じような宿泊形体でありながら、なぜゲストハウスは逆に盛り上がりをみせているのだろうか。
ゲストハウスの多くは、古民家や町家などをきれいに改装した建物で、客室は基本ドミトリー形式。1階に設けられたカフェバーでは、食事はもちろん、イベントが開催されることもある。宿泊料は1泊2500~4000円とリーズナブルな上、雰囲気もオシャレだ。また、増え続ける訪日外国人観光客の受け皿としても注目されている。
日本全国の個性的なゲストハウスを取り上げるフリーペーパー『ゲストハウスプレス』を発行している西村祐子さんに、昨今のゲストハウス事情を聞いた。
「ユースホステルとゲストハウスは一見似ているようなんですが、ユースホステルにはこれという引きがないんですよね。その点、ゲストハウスはフォーマットがなくフレキシブルで、それぞれのオーナーが自分たちでかっこいいと思う個性的な空間を作り出しているんです。独特のフレンドリーさがあり、スタッフが町を案内してくれるなどの交流もあります。かつてカフェブームというのがありましたが、あれに似ている気がします」(西村さん)
このゲストハウスブーム、いつからはじまったのだろうか。
「1990年代にバックパッカーとして世界を旅していた人や、ワーキングホリデーで海外に行った人が、日本でもゲストハウスを作ろうと始めたのが最初です。2000年代始めあたりから、沖縄の『月光荘』や東京・浅草の『カオサンゲストハウス』が旅好きの人気を集めていました。いまのようなゲストハウスが増えてきたのは2010年あたりからですね。東京の入谷に『toco.』という古民家を改装したゲストハウスが誕生したのがきっかけではないでしょうか。さらに震災後は異業種の若い人たちも参入してきて、オシャレなゲストハウスが急増しています」(西村さん)