ネットで話題の「イケメンチップス」(ESSPRIDE提供)
ネットで話題の「イケメンチップス」(ESSPRIDE提供)
チップスの袋を開けると出てくるイケメンカード(ESSPRIDE提供)
チップスの袋を開けると出てくるイケメンカード(ESSPRIDE提供)
カードになっているイケメンの一覧。どれが付いてくるかはお楽しみ(ESSPRIDE提供)
カードになっているイケメンの一覧。どれが付いてくるかはお楽しみ(ESSPRIDE提供)
そしてピカジョチップスも(ESSPRIDE提供)
そしてピカジョチップスも(ESSPRIDE提供)

 ポテトチップスにもれなく一般人の“イケメン”カードが付いてくる「イケメンチップス」が話題だ。11月9日にテレビの情報番組で紹介されてからは、オンラインショップのみの販売にもかかわらず1日約2000個と飛ぶように売れてなくなり、急きょ再生産する事態となっているという。

 イケメンカードの表面にはイケメンの写真とサイン、裏には生年月日や血液型、身長、体重、好きなおやつ、お勧めのデートスポットなどが書かれている。イケメンかどうかはともかく、なぜ一般の男性をカードにしたのか。ネット上では「全く欲しくない」という人がいる一方で、「箱買いする」と好意的にみる人もおり、とにかく反響を呼んでいるのだ。

 なぜイケメンカードなのか? イケメンの反意語は“ピカジョ”なのか? イケメンやピカジョをどのように選抜しているのか? さまざまな謎について、販売元の会社に直接聞いてみた。

 イケメンチップスを作り出したのは、オリジナルお菓子などの企画を手掛けるESSPRIDE(エスプライド)だ。この会社では、企業へのお菓子の定期宅配サービスも行っており、その中で生まれたのがイケメンチップスだという。

 働く人にとって、癒やしだけでなく、同僚とのコミュニケーションツールにもなるお菓子。そしてお菓子好きな女性が盛り上がるのはやっぱりイケメン。ということで、見た目でも仕事でもイケメンな男性のカードを付けたポテトチップスを作れば、社内でわいわい楽しくコミュニケーションが取れるのではないか、というのが当初の狙いだったと担当者は話す。

 応募資格は日本在住で満18歳以上、所属企業の社内から3人以上の推薦をもらっていることなどが条件だ。審査を経てチップスへの採用が決まり、1人につき、カードに使う「奇跡の1枚」の撮影や公式サイトでの掲載、チップス3ケース(126袋)のセットなどで25万円(税抜)の費用がかかる。

 2014年12月ごろからイケメンを募るため、サンプル品を作って企業を回った。企業側の反応は「おもしろい、やる!」「何それ。会社のイメージに合わないからちょっと無理」、の二通りに分かれたそうだ。社内からの推薦の他に、自ら応募してきたつわものもいた。

 15年2月に公式サイトをオープン。評判も上々で、「それなら女性版も」と仕事で輝いている女性をテーマに新たにチップスを作ることに。イケメンチップスに対してネーミングをどうするか社内で話し合いを重ね、「ぴかぴかの女性」という意味のピカジョというオリジナルの造語を生み出した。味は約10種類を試した結果、「広く支持される味で」ということで、イケメンチップスはうす塩味、ピカジョチップスはコンソメ味となった。

 11月現在、サイトに掲載されていない人も含めて、イケメンは77人、ピカジョは20人。カードに書かれているプロフィールは一部で、公式サイトでは、現在の仕事を始めたきっかけや挫折経験、それをどう乗り越えたかなどが掲載されている。所属企業にとってはPRになるし、見ている方にとっては就職や転職、仕事の参考になるのが魅力らしい。

 チップスはイケメンやピカジョが所属する企業の営業やPRに使われたという。毎月企業に宅配するお菓子ボックスにもイケメン、ピカジョチップスを1袋ずつ入れたところ、チップスからカードのみが抜かれる、机やロッカーにネタとして置いておかれるなど、じわじわと人気が高まっていた。

 当初は「芸能人のカードでもないし」と一般向けの販売は考えていなかったが、ツイッターやブログなどで紹介されて問い合わせが増えたため、7月ごろからオンラインショップで売り出した。イケメン、ピカジョチップスとも1袋300円で10袋入り3000円、42袋入り1万2600円(いずれも税抜)と一般のポテトチップスと比べると2、3倍の値段だが、それでも買い求める人は多いという。

 同社には、これまで紹介したイケメンたちからお礼の連絡も来ており、担当者は「思っていた以上の反響に驚いている」と話す。今後は引き続き人材を募集するとともに、販売強化も検討するそうだ。

 自分と同じように働き、親近感の持てる一般人だからこそ、ブームを巻き起こしたのか。サイトのイケメンたちを眺めていると、なんだか癒やされてしまった。

(ライター・南文枝)