本田美奈子写真集・10年目の「ありがとう」より
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 歌手でミュージカルなどの俳優としても活躍した、本田美奈子さんが急性骨髄性白血病のため、38歳という若さでこの世を去ってから、11月6日でちょうど10年の月日が流れた。

 アイドルとして活躍していた当時から、多くのファンばかりでなく、早見優や松本伊代など同年代の仕事仲間からも愛されていた本田さん。彼女たちを中心に、毎年に開催されているメモリアルコンサートは、今年も盛況で同年代の坂本冬美や森口博子に加え、知念里奈や安倍なつみなど後輩アーティストにもその輪が広がりつつある。
 
 さらに、10周忌であり、デビュー30周年でもある今年はメモリアルとして、新しいアルバムや写真集が刊行される。本人が病床でボイスレコーダーにのこした貴重な音源にピアノ伴奏をつけ、新たに録音された曲などが収録されたアルバム『AGAIN』が11月4日にリリースされた。

 また、本田さんが活躍した80年代はアイドルグラビア誌が全盛の時代。『スコラ』や『週刊プレイボーイ』のグラビアに掲載された本田さんの姿が記憶に焼き付いているファンも多いだろう。そんなグラビア用に撮影された写真(未使用分含む)や最後の舞台となった「ミスサイゴン」の舞台稽古や公演の様子を密着ドキュメントした写真などで構成した『本田美奈子写真集 10年目のありがとう』も、多くの人の思いがつまったものとなっている。

 この写真集の編集を担当した編集プロダクション・スクロールの橘貴子さんは語る。

「アイドルとしてデビューした30年前からのお付き合いでした。一緒にロケに行きグラビアページを制作したことが何度もあります。彼女が亡くなってからも、毎年行われている<音楽彩>というイベントのお手伝いさせてもらっています。今回、美奈子さんの所属していた事務所の社長である高杉さんから声をかけていただいて、私がかかわったものも含めた数多くのネガの中から素晴らしい写真を選び直して写真集を作りました。美奈子さんのお母様も『好きな写真ばかりを選んでいただいて、とてもすてきな写真集になりました』と喜んでいただきました」

 また、本田美奈子さんが活動当時所属していた事務所の社長だった高杉敬二さんは、本田さんについて次のように語ってくれた。

「私はいまでも彼女がすぐ隣にいて、一緒に仕事をしているように感じることが多いのです。私がいろんな方とお話していても必ず美奈子の話題になりますが、そのたびに『いまでも彼女は元気ですよ』と言いたくなります。ファンのかたがたも熱心で、ファンクラブを閉鎖しようとすると『なくさないでください』という声が多く届き、現在も継続しています。最近も直接彼女を知らない世代の人が加入してくれるんですよ。すごいことだと思います。これからも美奈子が強く行きた姿を伝え残していきたいと考えています」

 本田さんのファンクラブは、現在も継続的に運営されており、所属事務所の社長だった高杉さんは認定特定非営利活動法人リブ・フォー・ライフ美奈子基金の副理事長を務めている。”LIVE FOR LIFE”の活動は生前、難病で苦しんだ本田さんの願いから生まれた活動で、白血病をはじめとした難病患者やその家族の闘病生活の援助を目的としている。

 本田さんは、姿や歌声ばかりでなく、その想いまでもが彼女を愛した人たちのなかで、今も確実に生きているようだ。