もうひとりも、熱い男性だった。

 商社で働いていて、中国との貿易を担当していた。

「もっと、日中の架橋になりたい」

 と、商社を辞めて、飲食のチェーン店に転職。

 中国で、彼が担当した店の立ち上げを成功させた。

 そして、日本に休みで戻ってきて、スキー場で行方不明になった。春先に遺体で見つかった。

 2人とも、その数日前まで、わたしも含めて仲間とフェイスブックでやりとりしていた。

 2人とも、その数日後に自分たちがこの世界からいなくなるなんて、ぜったいに思っていなかった。

 2人の夢を生前、聴かせてもらっていただけに、

「どれだけ、無念なんだろう」

 と、思うと、やっぱりやるせない。

 と同時に、自分に対して思う。

「わたしだって、いつどうなるかわからない。だから、毎日を無駄にしている場合じゃない」

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