春風亭一之輔
軽い気持ちで「メガネ失くした」とツイートすると「おでこの上じゃないのw」的なリプが続々。ある程度想像してたがそのうち大喜利合戦になってきた。嗚呼イライラする。きっと家康さんもホトトギスが鳴くまで待っているときに、横から「こうしたら鳴きますよ」という他人事なアイデアや「鳴き声は『テッペン カケタカ』ですけど」みたいなネタバラシや「他にやることないの？ 暇人w」なんてクソリプにも、耐えて耐えて我慢したんでしょう。偉いよ家康。また有能な家臣団にも恵まれたんだそうな。だからこそ200年余りの平和な徳川の世が築けたのだ！
メガネを捜すのを諦めて、ホテルの部屋を出ると一番弟子から電話。「今、弟子一同でプレゼント持ってお宅の前に居ます」。間が悪い。「オレ盛岡。カミさん仕事。子どもら学校」「じゃポストにプレゼント入れときます」「別にいいけどそんな小さいモノ、なに？」「『紛失防止用GPSタグ』です」。マジか？ うちの家臣団（弟子）は間が悪いんだか、いいんだか。いや、やっぱり悪いのか。
後日、結局メガネはベッド下、中央の床の上に転がっていたとホテルから連絡あり。なんでわからなかったのか。どうしたオレ。
春風亭一之輔（しゅんぷうてい・いちのすけ）／1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』（朝日文庫、850円）が絶賛発売中。ぜひ！
※週刊朝日 2023年2月17日号
暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ！どんな企業と契約している？
春風亭一之輔
小島よしお
しいたけ.
西崎彩智
