この動画を企画したのは、埼玉に特化したプロモーション活動を展開する上尾市出身のクリエィティブディレクター鷺谷政明さん(35)だ。13年秋に公開された、アイドルグループAKB48の楽曲「恋するフォーチュンクッキー」に合わせて黒岩祐治知事らが踊る神奈川県のPR動画に触発され、「特徴がないと言われがちな埼玉をオリジナルのダンスで盛り上げたい」と考えたという。

 そんな思いから、曲の制作、ダンスの振り付け、演奏、キャストすべてを「メイド イン 埼玉」で作り上げたのが、声に出して読むと“そう、ダサイタマ”にもなる「そうだ埼玉」だ。仕事仲間と協力して約200団体に声をかけ、地元企業や施設など、46カ所の参加にこぎつけた。

「♪この街に生まれて良かったと、毎日思わないけど、嫌だと思ったこともないぜ~」といった、控えめな郷土愛を表現した歌詞や埼玉ポーズが反響を呼び、動画は7万回以上再生された。埼玉の情報発信サイト「そうだ埼玉.com」には、ダイアモンド☆ユカイさんら埼玉ゆかりの有名人や、県内40市のうち、21市の市長が埼玉ポーズを決める写真が掲載されている。

 ネット上では、「さすが埼玉!w」「洗練されてない感じがなんとも」「名前がダサい」と様々な意見が飛び交っているが、鷺谷さんは「日常のネタの一つになればうれしい。県民全員に広めたい」と喜ぶ。まずは、足元の県内での浸透を狙っているそうだ。

 そして最後に、佐賀市のプロモーションムービー「W・R・S・B」を紹介したい。約10年前にお笑い芸人はなわさんの「♪SAGA さが~」で話題になった佐賀だが、今度は有明海に生息するウナギのような形をした珍魚「ワラスボ」を、斬新な切り口でPRする動画で勝負しているというのだ。

 ある日、旅行で佐賀市に訪れたカップルが、有明海に面した公園で、不思議な骨を見つける。その骨をめぐって、日本中が大パニックになる、というストーリーだ。カンヌ国際広告祭で日本初のプロモ部門グランプリを獲得した三寺雅人さんが製作総指揮を手掛け、登場人物はすべて佐賀出身の役者が演じたという。

 動画はハリウッド映画の予告編をほうふつとさせる完成度で、15年1月に公開したところ、「グロかっこいい!」などと話題になり、再生回数は8万回を超えた。

 動画には「全部、食べられてしまう」という言葉が随所で使われている。担当者は「動画に登場するワラスボの干物は、骨までポリポリと食べられるのが特徴。予想以上に反響があって驚いた」と話す。現在、市では第二弾のPR動画の制作を進めているという。

 ゴールデンウイークが終わっても、夏休みにシルバーウィークと、遠出ができる機会はたくさんある。インターネットを駆使して心に響いたプロモーションを行っている地方に出掛けてみるのも楽しそうだ。

(ライター・南文枝)

【関連リンク】
高知家サイト http://www.kochike.pref.kochi.lg.jp/~top/
そうだ埼玉.com http://soudasaitama.com/
「W・R・S・B」特設サイト http://wrsb.saga-city.jp/

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