どれだけの議員が国会議事堂に戻ってこられるのか?
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雪国の選挙戦を勝ち抜くのは誰だ?
雪国の選挙戦を勝ち抜くのは誰だ?
選挙スタッフには必需品となる使い捨てカイロ
選挙スタッフには必需品となる使い捨てカイロ

 安倍晋三首相は11月21日午後、衆議院を解散した。「大義なき解散」という批判もあるが、ともあれ選挙戦はスタートする。秋の臨時国会では「うちわ」が問題となった。ならば今回の「真冬の総選挙」で「使い捨てカイロ」を配ったら、どうなるのだろうか?

 改めて振り返れば、国会で松島みどり・前法務相が配布したうちわを「財産上の利益=有価物」と見なすか、有権者への「寄付」に該当するか議論となったのは記憶に新しい。では来月2日公示・14日投開票の衆院選で、立候補者が使い捨てカイロを配った場合、たとえ「使い捨て」でも「有価物」になるのだろうか。

 北海道陸別町は「日本一寒い町」を自認する。十勝地方に位置する同町は、12月の最低平均気温がマイナス15度。「古い家なら留守中に野菜が凍る。だからプラス5度の冷蔵庫に入れる」(町民)というすさまじさだ。

 衆院選で陸別町は北海道第11区。現職では中川郁子・農水政務官の地元だ。事務所に取材を申し込むと「有価物に決まっているでしょう」と笑われてしまった。

「選挙スタッフには必需品ですよ。底冷えする日には靴に小さなものを入れます。大事なのは腰。冷やさないよう衣服にカイロを貼るんです」(中川事務所)

 真冬の選挙。その苦労は相当なものだ。路面凍結によるスリップ、吹雪によるスケジュールの混乱。寒さでバッテリーの出力が低下すれば、マイクが使えない――。

「それでも吹雪の中を頑張れば、有権者の方々が評価して下さることもあります。何より安全第一に選挙を戦い抜きたいですね」(同)

 事務所のホームページで「うちわ問題」のコラムを執筆した三木秀夫弁護士が解説する。

「公職選挙法に有価物の明確な定義がないのは事実です。ただ使い捨てかどうかは無関係でしょう。カイロも価格を有する商品です。有価物と見なすべきではないでしょうか」

 元検察官の田中喜代重弁護士も「うちわと違って紙製ではないため、討議用資料と主張することもできません」と指摘する。

 「法律を厳密に解釈すれば、たとえ使い捨てカイロ1つでも、買収の疑いが生じます」

 田中弁護士によると、警察や検察がより注視するのは「酒」だというが、いずれにせよ有権者も”ワイロ”のカイロや熱燗ではなく、立候補者の「論戦」で熱くなるべきのようだ。

(ライター・葉山哲平)