「地元でも前夜祭の話をすることはある。ただ、それは、その……。これ以上は答えることができません」
5千円の内訳を証明するには「明細書」を公開すれば、全てが明らかになる。しかし、安倍首相は頑なだ。
「明細書につきましては、今までも既にお話をさせていただいているところではありますが、明細書についてはですね、これは事務所において保存をしていないし、事務所は受け取ったということを記憶していないということでございます」
しかし、最低でも400万円規模の宴会を行う際、ホテル側が利用者側に明細書を発行しないということが本当にあり得るのだろうか。立憲民主党、福山哲郎幹事長は、この点にも注目する。
「総理は、明細書について、見てないとは言っていないんです。明細書の存在をさすがに否定はできないですから。だから、事務所は受け取っていないという代わりに、記憶していないという曖昧な表現にしたのだと思います」
安倍首相の答弁はこう続く。
「また、ホテル側は、公開することを前提にお示しすることは、営業上の秘密であるということもあり、それは提出できないということでございます」
安倍首相が、率先してホテルの立場を代弁する姿はいささか滑稽だ。営業上の秘密という文言は、本当にホテル側の言葉なのか。改めてホテルニューオータニにも取材を申し込んだが「個別の案件にはお答えできない」という回答だった。
ある元自民党幹部はこう苦言を呈す。
「総理にまつわる政治とカネの話なんだから、堂々と潔白を証明してもらいたい。そうでなければ国民は納得しない。桜を見る会に加え、消費増税、コロナ対応、高検検事長の定年延長、これで、オリンピックが吹っ飛んだら、政権は持たない。憲法改正など夢のまた夢ですよ」
(編集部・中原一歩)
※AERA 2020年3月23日号より抜粋