「出さない」のではなく「出せない」のではないか──。桜を見る会の前日にホテルニューオータニで行われた「前夜祭」の領収書、明細書について、こんな疑問の声が上がっている。自らは潔白だと証明できるのは首相本人、もしくは前夜祭の参加者しかいない。AERA 2020年3月23日号では、実際に前夜祭に参加したという人に取材した。
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実は桜を見る会の疑惑が発覚して以降、多くの記者が安倍首相の地元に入り、この前夜祭の参加者に取材をしている。ある記者は、参加したという人とは30人以上接触できたが、領収書の現物は一枚も出てこなかったと証言する。5千円は支払ったけれども、領収書はもらっていない。中にはもらった、という人もいたが、現物を見せてほしいと言うと拒否、もしくは紛失したとはぐらかされたという。この記者は「領収書はなかったのではないか」との疑惑を深めたと話す。
「本当に領収書が存在するのであれば、支持者は安倍首相の潔白を証明するために証拠を突きつけるでしょう。地元に限らず、そういう動きが全くないことも不思議でなりません」
改めてアエラも、この前夜祭に参加したという下関市在住の男性にインタビューを行った。
──5千円という会費についてどう思うか?
「あの日、800人程度の人間が、あの場で飲み食いをしたことは間違いない。ただ、それは5千円という会費の正当な対価だと思う。確かに地方出身者としては、東京のしかもホテルニューオータニの宴会にしては正直、安いなと思ったが、疑問には思わなかった」
──本当は、そもそも領収書が存在していないのでは、という疑惑があります。
「参加費を払ったのは覚えているけれども、領収書を受け取ったかは記憶になく、自分の手元にはない。確定申告の季節だけれども計上していない」
──もし、領収書があるのであれば、疑惑をかけられている安倍首相のためにも、有志が自発的に領収書を公開したらどうか。