さて、テレ朝は、イモト(アヤコ)の代わりにナスDで「世界の果てまでイッテQ!」がやりたいのか、はたまた「世界ウルルン滞在記」か。と、思いきや後半1時間、思いっきり番組のテイストが激変した。

 厳冬期、牧草地を求めて家畜と共に大移動する家族の映像。淡々とした第三者視点のナレーション。

「今年はたくさんヤギが死んだ」。寒さに耐える少女の顔。吹雪にかすむ尾根。もう気分はNHKスペシャル。

 てか、その前のパートではナスDが雪にブルーハワイのシロップかけて、村の子供とキャーキャー食べてたのに! バラエティーなの、紀行ドキュメントなの。ふざけてるの、真面目なの。

 150日間かけた取材。のべ1500時間も撮影したという。あまりに撮影素材がありすぎて、どうまとめたらいいか迷子になったとしか思えない。

 主役はナスDなのか、天空の村人たちなのか、その生活なのか、大自然なのか。さっぱりわからないまま終了。ただひとつわかったのは、絶対に消えないテロップが右上にある。

週刊朝日  2020年3月27日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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