山崎:地位協定でなかなか国内法が及ばないところがあります。横田ラプコン(※)の管制問題では、東京五輪の開催期間中に限って緩和してはどうかという議論もありますが、羽田空港が発展できないのはこの空域があるからです。私が官邸にいた時に、東京都知事だった石原慎太郎さんが横田空域の問題で、小泉総理と交渉させてくれと何度も来られました。中曽根康弘さんも防衛庁長官の時に「日本の首都の空を米国に守らせていることは断じて許せない」と横田基地返還論を主張されていました。

※横田ラプコン 米空軍横田基地が航空管制する空域。1都9県(東京、埼玉、群馬、栃木、神奈川、福島、新潟、長野、山梨、静岡)にまたがる。高さは最高7000メートル、最も低いところでも2450メートルある。

メア:石原知事の時に、私は駐日大使館の安保部長として関わっていました。日本の国民が疑問に感じることは理解できます。なぜ、米国が管制権を持っているかというと、米空軍の戦闘機をコントロールするためです。それができなくなれば、防衛能力は大きく低下します。石原知事は軍民共用化をやろうとした。しかし、有事になると横田基地は過密化しますから現実的ではありません。基地周辺の住民も騒音がさらにひどくなるので、横田の民間機利用に反対していました。

山崎:地位協定の見直しについては米国側の譲歩を得たい。やはり、沖縄県民の過重な基地負担を軽減するべきです。現政権は普天間飛行場返還に伴う辺野古移設を推進しています。軟弱地盤の問題が指摘されていますが、何年かかろうとも必ずやるという方針です。辺野古埋め立て問題に対して、県民投票で示されたように反対論が根強い。それが自民党政権にとっても不安定要因になってきました。

メア:強調しておきたいのは、普天間移設計画は日本政府の提案だということです。05年に日米両政府が合意した在日米軍再編計画は負担軽減です。現在、沖縄本島の15%が米軍施設ですが、再編計画を実行すれば11%に減る。辺野古は一部埋め立てる必要がありますが、海兵隊の既存基地のキャンプ・シュワブに移るだけです。負担軽減になるのに、地元の知事が反対するのはおかしいし、県民に対しても無責任です。

木村:知事が反対していて、地元住民が県民投票までやって、反対の意思表示をしています。これが米国内であれば、基地建設はできないのではないですか。

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