7月24日に開幕予定だった東京五輪の延期が事実上決まった。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、開催の最終決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)が22日(日本時間23日未明)、「延期を含めた検討を始め、4週間以内に結論を出す」と発表した。中止については否定した。次の焦点は、1年後か、2年後かの開催時期となる。
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22日のIOC理事会で方針が決まった。中止は1916年ベルリン大会、40年東京大会、44年ロンドン大会と過去3大会あっていずれも戦争が理由だったが、延期は五輪史上初めて。これに先立って、五輪に強い影響力を持つ米国のトランプ大統領は21日の記者会見で、「明らかに延期という選択肢があり、来年まで延期されるかもしれない。すべて日本次第。私は彼(安倍首相)が近く判断を下すことを知っている」などと話していた。
こうした動きを受け、安倍晋三首相は23日の参院予算委員会で、「(大会の)完全な形での実施が困難な場合、延期の判断も行わざるを得ない」と述べ、延期容認を初めて公言した。22日夜、大会組織委員会の森喜朗会長を通じてIOCに意向を伝えたという。
東京都の小池百合子知事も23日、報道陣に対し、延期について「これから4週間かけて様々なシナリオを検討するが、その中にはその言葉も入ってくるのでは」と話した。組織委の森会長も同日会見し、「最初の通りやるんだ、というほど我々は愚かではない」と述べた。五輪開催に関わるIOC、日本政府、大会組織委員会、東京都が足並みをそろえた格好だ。
通常開催を唱えてきたIOCは、17日の臨時理事会で「7月24日の開会式に向けて準備を進める」との公式声明を出したばかり。急な方針変更の背景には、一部のIOC委員や五輪メダリスト、各国の五輪委員会や競技団体が公然と延期を求め始めたことがある。特に五輪メダルを量産し、発言力が強い米国の水泳連盟と陸上連盟が20日、十分な練習や準備ができないとして相次いで延期を要請したことが大きい。
世界の動向を見れば、延期はもはや避けられなかった。17日には欧州サッカー連盟が、6月に開幕予定だった欧州選手権の1年延期を決めた。五輪と並ぶ今季のビッグイベントだけに、その意味するところは大きい。朝日新聞が14、15日に実施した世論調査でも、「延期」を求める声が6割を超えた。日本オリンピック委員会は、山口香理事が朝日新聞の取材に対して「延期すべき」と発言すると、山下泰裕会長が「(発言は)極めて残念」と述べて混乱を露呈した。