場当たり的な政策が目立つ安倍晋三首相の新型コロナウイルス対策。それでも何とか持ちこたえているように見えるのは、地方自治体の努力のたまものだ。
PCR検査の実施数も心もとない。3月6日の保険適用後も1日平均約千件で、累計で1万8千件程度(21日現在)に過ぎない。政府方針では、受診の目安は「37.5度以上の発熱が4日間」で、軽症患者には自宅療養を呼び掛けている。
この方針に反発したのが和歌山県の仁坂吉伸知事だ。
「早期発見し、重症化させないことが大事だ。医者にかかるなというのはおかしい。和歌山県は従わない」と批判。政府が、まだ中国など流行地への渡航歴がある人に絞っていた2月初旬から、県独自の基準でPCR検査を進め、検査対象を広げていった。
「県民が中国から来られた方と接触があれば、感染する可能性があります。当初の検査の要件には当てはまりませんが、そこから感染が広がることを危惧しました。発熱と肺炎の症状があって、インフルエンザや肺炎球菌など他の感染症が陰性であれば検査に回しました。保健所から肺炎またはコロナの疑いのある患者さんのリストを県のほうに提出してもらい、検査の必要性の有無を検討するなど連携を強化しています」(健康推進課)
県だけでは追いつかない検査150人分を、大阪府の専門機関に依頼した。そうして検査数を増やした結果、「最近では、陽性の人はほとんど見つからなくなった」(同)という。
海外で実施されている、車に乗ったまま受けられるドライブスルー方式の検査については、厚生労働省が3月5日に公式アカウントで、「医師の診察が伴わないため、我が国では、実施しておりません」とツイート。だが、実施国では医師が診察していることがわかり、訂正するハメに。そればかりか、国内でも新潟市や名古屋市がドライブスルー方式を導入しているのだ。新潟市保健所の担当者が話す。
「2009年の新型インフルエンザの検査でもドライブスルーを採り入れており、ノウハウはあります。1人当たりわずか2、3分で済みます」(市保健管理課)