リスクを減らすこんな選考方法が採用されていたとしても、実施のハードルは高かったでしょう。ただ、人生をかけて五輪を目指す選手サイドに立って、いろんな可能性を探ることが大切だと思っていました。全員が出場して実施する「100」から、中止する「0」という結果になってしまったことは残念でした。

 私が指導する選手たちはヨーロッパの選手とお互いに刺激を受けながら、目標としていたオリンピックに向けてとても充実した日々を送っていました。泳ぎだけでなく、覚悟や考え方も確実に成長していました。日本選手権中止を受けて、選手たちには、積み重ねてきたことは無駄にしないようにしよう、と話しました。

 今年を目標に長期計画で練習していただけに落胆は大きいし、いったん気持ちが抜けてしまうのも仕方のないことです。一人ひとりに話をしてもらいましたが、大橋悠依は来年までにもっと力をつけて、もしかしたら金が取れるとかメダルに手が届くというレベルから、確実に取れるところまで持っていけるようにしたい、と気持ちを切り替えていました。

 競泳日本代表は2017年から大会後も解散せず、チームとして強化を続けてきました。そのメリットを生かすときだと考えています。しばらく充電の時間を取ってから、強化計画を練り直したいと思います。

(構成/本誌・堀井正明)

週刊朝日  2020年4月10日号

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