「ありがとうぐらい言ってくれてもいいのに」と言ってみた時、「うん。なんか最近、夫が私にすべて任せている感じがプレッシャーなんだ。それに、やっぱり身近な人に認められたいし、褒められたいよ」と、心の奥にある気持ちがひょっこり出てきました。
その思いに気がついた時、「そうなんだ」と自分で自分を理解した感じが広がります。甘えん坊、見栄っ張り、臆病、そんなあなたにとって見たくない感情を見つけた時、素直に「そうだよね」と言えないこともあるでしょう。そんな時は、あえてその気持ちに「私を守ろうとしてくれているんだね、ありがとう」と、つぶやきます。
怒り、不安、恐怖、焦り、悲しみ……すべての感情はあなたを守ろうとして発動するのです。だから、「ありがとう」と言うことで、ほぐれていきます。ありがとうが言いにくいのなら、「感謝だよなぁ!」もいいですね。おまじないのように聞こえるかもしれませんが、「ありがとう」の効果は実はすごいのです。その言葉を受け止めた感情は、やがて落ち着いていきます。
そして、心の会議のゴールは、「まぁ、たいしたことないかな」と少し思えれば上出来です。通常、会議というのは、なんらかの「対策」や「結論」を求めるものです。出席者が都合を調整してその場に集まっているのですから、ただの世間話だけでは不満が残る。その成果を共有することが「達成感」となります。
しかし、「心の会議」は、あなたの心の中の会話ですから、結論など求めなくていい。全部の気持ちを出したら、それを「感じる」。まるごと、感じてみます。
感情は、その存在を主張するために、出来事を拡大し、視野を狭めるというメカニズムがあります。「わかってほしい」と訴えかけている感情に対して「そこにいるのはわかったよ」と認めることで、過剰な訴えかけはおさまってきます。
すべての心の言い分を聞いて、フラットに眺めて、どの感情もあってよかったんだなぁとしみじみ思えたら、「今度のコロナ騒動も、なんとか乗り切れるかな」と少しだけ思える。
それが「心の会議」の目指すゴールです。「では、私は明日から何をすればいいのでしょうか」と対策を知りたがる人もいるでしょう。でもこれは、お肌のケアや掃除と一緒で、毎日することで、元気に日々を過ごすための「心のお掃除」なのです。ぜひ、気軽に試してみてください。