宮内庁の羽毛田信吾長官(70)が、6月1日付で退任することになった。
羽毛田氏の退任が正式に決まったのは5月25日。皇室の医療面を統括する金沢一郎皇室医務主管(70)も同時に退任する。
羽毛田氏は厚生省(現厚生労働省)事務次官を経て2001年に宮内庁次長、05年に宮内庁長官に就任した。京大相撲部出身で、「押し相撲一本やりの性格」と口にしていたとおり、両陛下の葬儀の問題だけではなく、小泉政権時の皇室典範改正や、今年から議論が始まった女性宮家創設など、皇室の将来のあり方を左右する難題にも対応してきた、
「モノ申す長官」としても知られた。
08年11月から胃腸の炎症をかかえていた天皇陛下が、翌月ついに公務を休んだときのことだ。
会見で羽毛田氏は、
「ここ何年かにわたり、(陛下は)ご自身のお立場から常にお心を離れることのない将来にわたる皇統の問題を始めとして、皇室にかかわるもろもろの問題をご憂慮いただくというような様子を拝してまいりました」
と指摘した上で、私的な見解としつつ、天皇陛下は皇太子さまや療養中の雅子さまの体調などを気遣っており、「様々なご心労」があると語った。
このときには、羽毛田氏の発言に先立って金沢氏も、「本気で理解してほしいが、陛下のご公務が忙しいから、日程が詰まっているから、という理由だとは単純に考えないでほしい」
と天皇陛下の体調不良の原因が心因性のストレスであると明かし、天皇家を支える2人がそろって皇太子ご夫妻に〝苦言″を呈する形になった。
※週刊朝日 2012年6月8日号