桜丘高校時代の富永啓生 (c)朝日新聞社
桜丘高校時代の富永啓生 (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、今季のBリーグの全試合中止が決定した。リーグはB1が第33節以降、B2が第31節以降、そしてポストシーズンがなくなるという苦渋の決断をしなければならなかったが、選手、クラブ、そしてファンの健康を最優先に考えれば、致し方ないことだろう。

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 2019年に福岡第一高をウインターカップ2連覇に導き高校No.1プレーヤーとして注目されていた河村勇輝は、1月末から特別指定選手として三遠ネオフェニックスと契約。本来であれば東海大に入学するまで国内トップリーグでプレーするはずだったが、シーズンが終わったことで河村のBリーグにおけるプレーは突然の形で見納めとなってしまった。

 三遠での河村のスタッツは、11試合中7試合でスターターを務め1試合平均12.6得点。2試合で20得点以上、7試合で二桁得点を記録するなど主力として十分な数字を残し、大学進学ではなくそのままプロになった方が良いという声も出るほどだった。

 日本の男子バスケはかねてから10代の突出したプレーヤーが生まれにくく、国内トップリーグでプレーするのは大学卒業後というのが通例。さらに河村のような若さでチームを牽引するとなれば、それは非常に稀なケースだ。しかし世界を見渡すと、アメリカはもちろん欧州などでは10代にしてトップリーグや代表として活躍する選手が輩出されており、グローバルに見ると国内選手の成長は緩やかと言えるだろう。

 NBAのスーパープレーヤー、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)や1月に不慮の死を遂げたコービー・ブライアントは高卒でリーグ入りしいきなりチームの中心として活躍したプレイヤーである。ダラス・マーベリックスでプレーするルカ・ドンチッチも、16歳の時にスペインのプロチーム、レアル・マドリードでデビュー。20歳にしてNBAオールスターのスターターの座を射止めるまでになった。レベルは違えど、世界ではティーンで大活躍するプレーヤーが生まれており、日本の男子バスケはこうした部分で遅れをとっている。

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日本のバスケ界も「早熟化」?