林:まあ、そうなんですか。

アン ミカ:もしかしたらそのお金の話も誤解があったかもしれないし、韓国語を完璧にしゃべれて、自分のルーツを知って親戚たちと仲良くすることが、亡くなった両親のためになるんじゃないかと考えなおして。それでどうしても韓国に行きたいと思って、29歳のときに事務所と話し合いをして延世大学に行ったんです。コマーシャルに5、6本出ていて、レギュラー番組は大阪で何本もやっていたので、それを休んで行くのはすごく勇気が必要だったんですけど。

林:どのぐらい行ってらしたんですか。

アン ミカ:3カ月で戻るという約束でレギュラー番組もキープしてもらってたのが、あまりにもおもしろくて、結局1年3カ月ほどいたんです。大阪ではモデルでタレントをやってるの私一人だったし、戻っても一人勝ちだろう、ぐらいの甘い考えでいたら、神戸コレクションのようなお祭り的なガールズコレクションが急に出てきて、時代がガラッと変わっていて、私、浦島太郎になっちゃったんですよ。背が小さい子とか金髪のギャル系モデルが手を振りながら歩いていて、お客さんもキャーキャー言って、その場でケータイで服が買える。たった1年でガラッと変わっていたんです。

林:時代の変化の波に乗り遅れちゃったんだ。

アン ミカ:でも、韓国に1年行ったことは無駄ではなくて、時代の狭間を見れたんです。日本と韓国がワールドカップで交わって、日本から留学に来ている子が競技場で一緒に韓国を応援しているんですね。知らない子たちに写真撮られて、「日本から来たんでしょう? ファッションもメイクも違うもん」って、若い子が日本人に憧れている。そんな報道、日本に入ってきてなくて、「竹島がどうした」とか、いつもモメてるという印象しかない。そういうことも勉強できましたね。

林:そのあと韓流ブームがドドドッと来るんですね。韓国は男の人も背が高くてカッコいいですよね。うちの娘なんかもう大変ですよ。

アン ミカ:誰が好きなんですか。

林:BLTっていうんですか。

アン ミカ:ああ、BTSです(笑)。防弾少年団ですね。

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