TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、本誌連載「RADIO PA PA」。今回は、志村けんさんとの思い出について。
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新型コロナウイルスの感染拡大で東京は人影がまばらだ。小林麻美さんに関する新刊を出したが、取材を受けるのも、多くはスカイプになった。そんな中、汐留の共同通信社を訪ねた。
インタビューをしてくれるM記者も、原則はリモートワークになっているが、他の用件も重なり出社してきたという。高層ビルの窓から東京の街を眺め、どう? 家での仕事は?と尋ねると、2歳半になる息子が普段いない自分の在宅を喜び、パソコンに向かっていても膝にのぼってきて画面を触ったり、遊んでと振り向いたりで仕事がはかどらず、結局記事を書き始めるのは彼が寝た夜8時からですと苦笑していた。
ラジオの聴取率も、在宅率の高まりもあるのか、上昇している。昼の時間帯では普段は少ない男性リスナーも増えている。リクエストは今どきのヒット曲だけでなく、70~80年代のAOR、邦楽ならニューミュージックと多岐にわたる。
ユーミンのデビューアルバム「ひこうき雲」や、はっぴいえんどの「風街ろまん」なども番組を彩り、名作それぞれのフレーズやアレンジには幾層にも時代の雰囲気が塗り込められ、オンエアしているこちらもしばし時を忘れてしまう。
僕の勤務するラジオ局の編成部長はコピーライター出身だが、先日こんなキャッチフレーズはどうだろうと提案してきた。
“Stay home,Stay Tuned”
身内ながら、なかなかのコピーだと思った。
先ほどのM記者のように、家族そろって在宅の家庭も多い。TBSラジオ系列で毎週日曜朝に放送されていた「全国こども電話相談室」を思い出し、小・中学生のリスナーを対象にコロナ関連についてのQ&A番組をできないかと思っていた矢先に朝日新聞の記事を読んだ。見出しは「作家・あさのあつこさんから子どもたちへ 大人の言葉うのみにせず、考えてみて」。あさのさんは野球少年を描いた『バッテリー』で知られる作家だ。