同社日本法人代表の佐々木聖治さんが言う。

「メールと違って言いたいことをダイレクトに、かつ簡略化して伝えることができる。1行でのスピード感あるコミュニケーションを担保します」

 短文でのやり取りはLINEをイメージするとわかりやすいだろう。だが、テキストだけのやり取りではない。サイズの大きいファイルの送信や共有などが簡単なうえに、Dropboxなどのクラウドサービスとの相性も良い。

 職場で近くにいればたった一言で確認できることも、在宅勤務だとメールで聞くのが億劫になるのが、テレワーク“あるある”だ。そんな遠慮の積み重ねが、いつしか疎外感やひずみを生み出す。Slackの気軽さは、そんな日本人の心をつかんだのか、ユーザー数は、北米地域に次いで多いという。

 日本発祥の「Emoji」も、スラックでのコミュニケーションに一役買っている。

 たとえば上司の呼びかけに、「承知しました」の意味を込めてサムズアップの絵文字などを付ける。それが既読代わりでもあり、レス代わりにもなる。これには、四の五の言わずに「承知しました」を飛ばしまくる昭和世代から「ラフすぎるじゃないか!」とお叱りを受けるかもしれない。だが、こうした感情表現があることで、コミュニケーションの活性化につながっていると佐々木さんは言い、こう続ける。

「コミュニケーションを自由に行うには、心理的な安全性を高めることが不可欠です。だから『既読』も付きません。機能としてつけることはできても、そこから生まれるいさかいは避けたい。送信済みテキストの修正もできるし、前向きな投稿の場にしたいのです」

(編集部・福井しほ)

AERA 2020年4月20日号より抜粋

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