新入社員の中には、オンラインミーティングに不慣れな人もいる。このため、各グループでは「ジェスチャーは大きく」「SNS投稿はしない」「ながら視聴はNG」「話す人以外はマイクはオフに」などのルールを設定。滞りなくリアルな集合研修をバーチャル上で再現できるよう工夫を凝らした。

 新入社員の種田健人さん(24)は、当初は不安があったというが「対面とは違ってオンラインは慣れも必要だと感じた。でも、自己紹介で共通の趣味を持つ同期を見つけられてよかった」と満足げだ。

 新入社員には好評だが、山田さんは気を引き締めている。「今後はデジタルに慣れている世代だからこその緩みも出てくるかもしれない。工夫をしながらやっていきたいです」

 オンライン研修は、リアルにはないメリットもある。GMOインターネットでも、入社式や研修を初めてオンラインで実施。従来は一方的に新入社員が聞くだけだったが、オンラインの特性を生かし、谷正寿社長が質問を受け付ける形に。オンラインツールを通じると、全体研修よりも、個人に直接話しかけられているような感覚になりやすい。新入社員からは「落ち着いてメモを取れて、かえってよかった」と好感触だ。

「今の若い世代は、意外とオンラインに抵抗がないようです」と人事総務部部長の目黒隆幸さん(48)は、胸をなで下ろす。

 今後はオンライン化できる研修はオンラインで実施し、OJTなどリアルで実施した方が効率的な研修は、6月以降に時期をずらし、感染状況を踏まえた上で地方拠点などで実施できないか模索している。目黒さんは、長期化の課題をこう考える。

「オンライン研修は、画面上に映った自分の顔を見ながら会話することもあり、新入社員も先輩社員も互いに“油断した顔” を見せにくい。長期化すれば、それがボディーブローのように効いてくるかもしれません。オンラインとオフラインのバランスを取ってやっていきたい」

(ライター・市岡ひかり、編集部・福井しほ)

AERA 2020年4月20日号より抜粋

【お知らせ】
AERAでは、テレワークに関するアンケートを実施。在宅勤務ができず、出社していると回答した400人超の声を集め、取材しました。4月27日号(20日発売)に掲載します。

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