AERA 2020年4月20日売り表紙に岡田健史さんが登場
AERA 2020年4月20日売り表紙に岡田健史さんが登場
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 俳優・岡田健史さんは、「これまで出演したすべての作品に、重みも種類も違う『糧』がある」という。今期放送のドラマ「MIU404」の現場と仕事への向き合い方を語った。AERA 2020年4月27日号から。

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 実を言うと、面食らった。撮影時は、早朝を思わせる淡いライティングの中、物憂げな表情を浮かべていたその人は、話し始めるとイメージががらりと変わった。身ぶり手ぶりを交え、大きな声で笑う。エネルギッシュでオープンな20歳の新星の素顔だった。

 デビュー作「中学聖日記」では、主人公を一途に思う相手役で、揺れ動く思春期の繊細な感情を表現し、視聴者に鮮烈な印象を残した。

「よく言われるんです。真面目なイメージがあるみたいで、現場で冗談を言うと、共演者の方から『酔っ払ってる?』って。麦茶しか飲んでないのに!(笑)」

 冗談交じりに話しつつ、本人はどこか、イメージを覆すことを楽しんでいるように見える。雑誌撮影でも、あえて毎回自分でテーマを設定して挑む。この日のテーマは、「切なさ」だったとか。

「テーマは気まぐれで決めてます(笑)。自分の多面性を見せたいですし、自分でも知りたいんです」

 今期のドラマ「MIU404」では、新人刑事役に挑む。刑事ドラマは「正直、まだ難しい」と本音をもらしつつ、綾野剛や星野源ら実力派共演者から、少しでも何かを感じ取ろうと必死だ。

「急ピッチでいろいろなものを吸収している段階。全力で感じて役として生きることに集中しています。集中力が必要で、体力的な負担が大きいんですけど……」

 取材中、「吸収」という言葉を何度も使った。「出演作の試写が苦手」という俳優もいるが、岡田は違う。「こうすればよかった」と気づけた自分に成長を感じ、自身を追い込む糧にする。成功も失敗も養分に変え、まっすぐに伸びた背筋の先に、次はどんな色の花を咲かせるのだろうか。(ライター・市岡ひかり

AERA 2020年4月27日号