遠隔教育の試験学校に指定されたソウル東大門区の高校でも、教師たちがオンライン授業を行った/3月30日(東亜日報提供)
遠隔教育の試験学校に指定されたソウル東大門区の高校でも、教師たちがオンライン授業を行った/3月30日(東亜日報提供)

 長引く休校に保護者らが頭を悩ませるのは、日本も韓国も同じだ。IT先進国の韓国は、官民挙げて準備して小学校から大学まで順次、オンライン授業を開始。だが、解決すべきさまざまな課題も見えてきた。AERA 2020年4月27日号では、韓国で行われているオンライン授業について取材した。

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 新型コロナウイルス問題の影響下、お隣の韓国では3月中旬から大学で、そして4月9日から中学高校でも授業をパソコンやスマートフォンなどで視聴するオンライン授業が始まった。

 韓国教育省が、全国の国公立の小中高及び特殊学校を対象にオンライン授業に踏み切ると発表したのは3月31日だった。本来なら3月2日から新学期だったが、コロナ問題で計4度にわたって開始を延期。夏休みや冬休みの短縮だけでは追いつかなくなった末の措置だった。

 4月9日からは中3と高3が、16日からは小4~6、中1~2、高1~2が、そして20日から残る小1~3がそれぞれオンライン授業に入る。

 韓国は世界に冠たるIT先進国だ。高速インターネット回線の普及も早く、カフェや食堂にはほぼ例外なく、無料で利用できる無線LANがある。日本で働く韓国人ビジネスマンの一人は「日本の自宅で無線LANを利用しようとしたら、料金が韓国の3倍以上もして驚いた」と語るほどだ。コロナ問題が浮上する以前から、大学や学院と呼ばれる塾などで、オンライン授業を採り入れる試みが行われていた。

 当初、「インターネット環境が弱い地方はどうするんだ」「子どもが大勢いる家庭では、パソコンやスマホが足りない」といった不安の声も聞かれた。

 だが、韓国教育省などによれば、同省や科学技術情報通信省、通信大手企業などと協力し、オンライン授業に必要なスマート機器を32万台以上確保した。4月7日現在、貸与を求めた生徒数は約26万7千人で、十分に対応できる見通しを示していた。低所得家庭には、通信料金の減免措置も講じる。

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