落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「サイズ」。
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「そのマスク 足して2で割れ安倍小池」。安倍さんのつけてるマスクはちっちゃくて不安になってくるし、小池さんのマスクはお弁当箱でも包めそうに大きい。足して2で割れないか。
今現在、4月10日。この文が掲載されるのが、再来週。4月21日には、安倍さんのマスクもフルフェイスのくいしんぼう仮面((c)大阪プロレス)みたいになってるかもしれないし、小池さんは新たなカッコイイ横文字スローガン、「ステイ・ゴールド」とか「スペース・ローン・ウルフ」なんて書かれたフリップを掲げてるかもしれない。一寸先は皆目見当つかず「かもしれない」だらけで、週刊誌のコラムが書きにくい。コロナ騒動は『サイズ感』がデカ過ぎる。
だからこのコラムはあえてSサイズな話題を。コロナのせいで仕事なく、毎日家族で食卓を囲むようになった。こんなことは所帯を持ってから初めてだ。ある日、私が「煮豆」の缶詰を開けようとすると「私が開ける!」と小4の娘。缶を手に取り「? なにこれ? どーやって開けるの?」。今どき珍しいプルトップのない缶だ。「缶切りを使うのだよ」と言うと「『缶切り』って?」だと。
わー。『缶切り』知らないのか、我が娘よ。小6息子「オレも知らない」。中3息子「知ってるけど使ったことない」。なんてこった!「なぜ、そんなことを知らずに大きくなった!?」と問えば「教えてもらったこともないのにわかるわけないだろ!」と長男の至極もっともな返し。今まで親の務めを果たしてこなかったな。反省。
私「よーし。じゃこれから『缶切り講座』を開講します。受講生諸君は缶切りを持ってきなさい!」
皆「どれですか!?」。そらそうだな。我が家の缶切りは、「栓抜き」と「コルク抜き」と一体型のモノ。
私「いーですか。これ一つで三つの機能があります。ここが栓抜き。瓶の栓を抜いたことは……」