2013年9月、ブエノスアイレスのIOC総会での大ウソの二番煎じだ。
しかし、日本に対しては、「検査を抑制して感染者や死者の数を少なく見せているのではないか」「危機感がなく対策が不十分だ」という不信感が世界で広がっている。現に、日本での感染は拡大を続け、ついに感染者数も死亡者数も韓国を上回った。その原因は、2月から3月にかけて、小池都知事と安倍総理が、五輪問題最優先で、コロナ対策をほとんどやらなかったからだ。
五輪のせいで死者が増えたとなれば、誰も五輪を喜べない。
安倍総理は、来年の五輪を「復興五輪」から「新型コロナウイルス克服五輪」に衣替えしたいようだが、むしろ開催できたとしても、「新型コロナウイルスに呪われた五輪」になる可能性のほうが高い。
今、私が一番心配なのは、今秋から来春にかけて、政府と東京都が、またコロナ対策より五輪というモードに逆戻りして、取り返しのつかない事態を招くのではないかということだ。
それを避けるためにも、今すぐに、「五輪中止」を勇気をもって決定すべきだ。
そうすれば、延期のための追加コスト3千億円超の資金で多くの弱者が救われる。五輪は幻となるが、「呪われた五輪」になるよりはるかにましだろう。
※週刊朝日 2020年5月8-15日号