新型コロナウイルスの感染拡大抑止のため、「社会的距離」を取ること(ソーシャル・ディスタンシング)が励行されている。だが、勤務中の社会的距離が0メートルになる仕事がある。社会的距離として「人との間隔を2メートルとろう」と頻繁に言われるが、その2メートルにはどんな根拠があるのか。新潟大学の齋藤玲子教授(公衆衛生学)が説明する。
「一般的に、せきなどをすると大きな飛沫(ひまつ)が飛ぶのがだいたい2メートルくらいと以前から指摘されています。ただし、解析技術が進んで小さい飛沫を可視化したときに、ウイルスを含む微粒子のエアロゾルがもっと先まで飛んでいる可能性があり、厳密には2メートルで足りないこともありえます」
実際に4月、AFP通信は中国の研究者の調査として、新型コロナウイルスを含んだエアロゾルが最大4メートル飛散したとの結果を報じている。
2メートルですら“絶対”はないなか、0メートルの不安をどう考えればいいのか。(編集部・小田健司)
※AERA 2020年5月4日号-11日号より抜粋