※写真はイメージです(C)Getty Images
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 安倍晋三首相は4月22日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、大型連休中の外出自粛をあらためて要請。ビデオ通話を使った「オンライン帰省」を呼びかけた。だが、やむを得ない事情で帰省が必要な人はどうすればいいのか。東京在住の50代の男性は、こんな体験談を語る。

「地方の高齢の父が難しい手術を受けるため、帰省しました。手術の説明を受けられる近親者が私だけだったからです。でも、東京は連日、経路不明の感染者が増えているため、症状がない私も感染が心配で……」

 男性は4月上旬、保健所に電話して懸念を伝えたが、「熱がなければPCR検査はできません」と断られた。

 マスク着用で実家に帰省した後、地元の保健所にも電話したが、やはり断られた。

「自分と同じような相談はないかと尋ねたら、『かなり多い。毎日50件以上、同様の問い合わせがある』と言っていました。感染しても無症状のこともあるから、みんな心配なんだと思います」

 父親が入院する病院では「主治医または看護師等から呼び出しのあった近親者以外は面会禁止」。今回は医師に呼ばれていたため入ることができたが、感染予防のため父とは会えなかった。

「マスクを着用し、主治医から手術についての丁寧な説明を受けました。『この先生でダメなら仕方ない』と思える先生でした」

 手術は成功。主治医がその後の経過をほぼ毎日、電話で知らせてくれた。帰省から2週間が経っても父との面会はかなわないが、電話で話しているという。

「実家がある市は感染者が一人も出ておらず『東京から帰った』というだけで、病院の受付の職員や近所の人たちが怯えた表情を見せる。不安で孤独でした」

 何か解決策はないのか。

 ナビタスクリニックの上昌広医師が語る。

「スマホでご両親の顔を見ながら話すなど、オンラインを可能な限り活用しましょう。もう一つの可能性は抗体検査。PCR検査は無症状の人などは受けられませんが、抗体検査は当院など希望者に実施している医療機関がある。陽性ならば過去に感染して抗体があるということで、今後感染したり、人にうつしたりする可能性が低いと考えられる。ただし今の技術では精度100%とは言い切れないので注意が必要です」

 ドイツでは抗体検査で陽性の人に「免疫証明書」を発行することを研究者が提案するなど、今後、活用の広がりが期待される。現状は技術や制度の整備を待ちつつ、できる範囲で工夫していくしかないようだ。(庄村敦子)

週刊朝日  2020年5月8-15日号