このところ、医師による「健康指南本」が人気だ。「健康診断を受けるたびに憂うつになる」「長生きはしたいけど、寝たきりはいやだ」。そんな現代人が、今からでも健康と長寿を手に入れる方法が本当にあるのか。ボケずに長生きするための手軽な方法をまとめた『100歳までボケない101の方法』(文春新書)の著者で医学博士の白澤卓二氏に聞いた。

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 人間には2万5千ほどの遺伝子がありますが、そのうち寿命に関係する「長寿遺伝子」が50から100個くらいあると推定されています。この遺伝子がわたしたちの寿命をつかさどっているのです。
 長寿遺伝子の中でも最も注目されているのが、「サーチュイン」といわれる遺伝子です。グルコース(糖)が少なくなったときにスイッチが入ります。動物でいうとエサがなくなった状態。飢餓モードですね。飢餓のときというのはあまり動けないので、外敵や紫外線、宇宙放射線に対して自ら強くならないといけない。そこで、サーチュインがはたらいて、DNAが傷つかないようにするのです。DNAが傷つかなければ、病気にならないから、自然と長寿につながる。こうしたメカニズムがわかってきました。
 ですから、長寿遺伝子をはたらかせるためには、カロリーを絞り込むということが必要なのです。逆に、常にカロリーを取っている状態、メタボの人たちは長寿遺伝子のスイッチが入らないので危険です。1日に取るカロリーをある程度低めにして、常に長寿遺伝子のスイッチが入るようにしなくてはいけないのです。

※週刊朝日 2012年5月18日号