中国系店舗の意外な対応
さて、筆者が横浜橋通商店街の中国系店舗で試しに買ったミカン(10個入り・280円)は、確かに安かったが少ししなびており、すでに食べられない状態になっていたものが2個も混ざっていた。産地で収穫されてから店舗に置かれるまで、相当の時間がたっているものと思われる。
購入した店舗に電話すると、日本語を話す中国人担当者とつながった。午前中の忙しい時間帯だったが彼女は作業の手を止めて、筆者の質問に応じてくれた。
「そのミカンは、東京の大田市場から、仕入れました。処分品ではないけど、市場でキロ当たり200円安くしてくれたんです。その中には、ダメになってるものもあるかもしれないね。品物を持ってきてくれたら、交換や返金もできるよ」
たどたどしい日本語ではあったが声は明るく、対応は決して悪くはなかった。「商品は難あり」だが、「サービスで挽回しよう」という気概も感じられた。
横浜橋通商店街を行き交う利用者は中国語を話す人が多かった。「ウチは中国人のお客さんが多いです」とこの中国人担当者が明かすように、生鮮品を扱う店舗の急増は、足元で拡大する中国やアジア出身者の拡大を意味しているといえる。
もとより東京、大阪、神奈川は外国人が集中する日本でも屈指のエリアだ。新宿区の中国系物産店の店主は、店頭に青果物を置く理由について「コロナ禍で中国人在住者の自炊が増えたため」だと話すように、もともとは在住する外国人向けに販売されていた。
ところが折からの物価高騰で日本人の視界にも「難ありの激安野菜」が飛び込んでくるようになる。杉並区在住の主婦の一人は「スーパーの価格と見比べながら、たまにアジア系の店舗で野菜を買うことがあります」と話す。