日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「新型コロナウィルスの抗体検査の有用性」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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4月7日に発令された緊急事態宣言。16日には、緊急事態措置を実施する地域は全国に拡大され、5月4日の夕方、対象地域を全国としたまま5月31日まで延長することが正式に決定されました。
東京都や大阪府、京都府や福岡県、北海道など13の特定警戒都道府県では、引き続き「接触機会の8割削減」の目標を掲げ、生活や健康の維持のために必要なもの以外は自粛要請となっています。自粛要請の対象外としては、医療機関への通院、食料品など生活必需品の買い出し、必要な職場への出勤、屋外での運動や散歩などが含まれます。
それ以外の34の県では、密閉・密集・密接が重なる「3密」を避け、手洗いや、人と人の距離の確保などを徹底することを前提に、制限の一部を緩和する方針だと言います。
日本のように義務や罰則もなく、あくまで要請をする対応とは違い、オーストリアやデンマーク、ドイツやイタリア、イギリスや米国、オーストラリアなど多くの国では、罰則を伴う国境封鎖、都市封鎖、経済封鎖がなされました。例えば、イギリスでは、外出制限命令に従わない人に対して、警察は罰金を科すなど取り締まることができます。ちなみに、罰金は30ポンド(約3900円)以上で、違反を繰り返す人物には1000ポンド(約13万円)が科されるそうです。
しかしながら、その対応は国や地域により、大きな差があります。それは流行が長期化すると考えられているからです。米国ミネソタ大学の感染症対策研究センターは、過去に何度か生じているインフルエンザ大流行のデータから類推すると、COVID-19感染流行は1年半から2年ほど続くと予想しています。こんなに長期にわたり、社会活動は制限できません。米国では、州によっては、コロナ感染拡大よりも経済悪化を問題視し、飲食店や小売店の営業再開を検討する動きもでてきているようです。